2015年11月17日

■『2025年日本の死』

■『2025年日本の死』
〜日本という国家は消滅する『沖縄独立』〜

古本屋で面白い本に出合った。水木楊『2025年日本の死』。あと30年で日本という国家は消滅する。迫真の近未来シミュレーションを描く。

近未来のシミュレーションはこうだ。
ステージ1 狂躁の時代 1986年〜1995年
ステージU 閉塞の時代 1996年〜2005年
ステージV 衝撃の時代 2006年〜2015年
ステージW 崩壊の時代 2016年〜2025年

著者は崩壊の時代のシミュレーションに沖縄独立を掲げる。秋の夜長に読むにふさわしい。沖縄人の視線を引き付ける名著だ。

文章の書き出しが面白い。しかし、ときすでに遅し。人身は中央政府から離れていた。今の沖縄を予言しているのではないか。辺野古のいまと重なる。

沖縄の近未来を予言しているので引用して紹介する。

「沖縄が日本本土から飛来する人々の入島制限を始めた。那覇空港で沖縄県庁が観光客に身分証明書の提出を求め、沖縄在住でない人々は、用意した飛行機で本土に送り返した」

「沖縄には、大地震を恐れた人々が続々とやってくる。身ひとつでやってくる人々ですから、金がない。面倒を見るには住宅、医療、食糧などで金がかかる。とても面倒見切れないという空気がより高まっていた」

「第二次大戦末期、本土は米軍の苛烈な攻撃の前にさらされた沖縄を見殺しにしたではないか。その本土の人間をどうして助けてやらなければならぬか」

「これに対し、東京の中央政府は厳重な警告を発した。日本国民はどこにでも移動できる自由がある」

「しかし、那覇空港の入島制限は終わらなかった。そして、まもなく沖縄は日本国からの独立を宣言した。国名は琉球共和国。那覇が首都になった」


「沖縄は琉球王国として長く独立した歴史を持ち、薩摩の支配を受けるまでは南海の要路にある島として中国大陸との交易で栄えた」

「それが明治の廃藩置県では王国は消滅して日本の一部に組み込まれ、第二次大戦で激戦地になって多くの生命を散せた。そして戦後は米軍の統治下に置かれた。このつらい記憶が消えるわけがない」

「日本への返還後の沖縄経済は中央政府の補助金に依存した構造になった。沖縄の道路、港湾その他のインフラストラクチャーはきわめて良好になった」

「しかし、その補助金も日本政府の破産状況になってしまったとあっては期待できない。となると、もう日本に無理してくっついている理由がない」

「それよりも中国や発展する東南アジア経済にネットワークを広げていった方がはるかに明るい未来があるというわけだ」

* * *
水木楊さんはペンネームだ。本名・市岡楊一郎。日本経済新聞ワシントン支局長、外報部長、取締役論説主幹を務める。心を静めて読んだ。文章の技術が滲み出ている。

沖縄独立を読んだ感想。
沖縄をあやつる日本・・・沖縄に未来はあるか。沖縄の心を札束であやつる国家とは。

敗戦後からの差別・・・沖縄の戦災戸籍の放棄、戦没者援護法の差別、17年間の財政援助の空白。差別の連鎖、新基地建設の不条理。日本は民主主義の国家と言えるのか? その答えは辺野古が示している。

今、沖縄で何が起こっているか。
政府のご機嫌取り。直接振興資金という札束。新基地建設の暴走。権力の疾駆。支配の道具としての深い衝動が沖縄を襲う。

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2015年11月16日

■茶飲み話

2015年11月14日付・沖縄タイムスに掲載された「茶飲み話」をブログで紹介します。

■茶飲み話
米軍基地と「振興費」 宮田 裕
 
基地の閉塞感緩和策として1997年度に「島田懇談会事業」が予算化された。迷惑料的な意味合いが強い予算だった。使途は、@市町村の経済を活性化し、閉塞感を緩和し、若い世代に夢を与えるもの、A継続的に雇用が増え、経済の自立につながるもの、B長期的な人づくりを目指すもの─と言いはやされた。

慶応大学・島田晴雄教授が座長を務めていたので「島田懇談会」という名称がついた。オブザーバーとして参加する機会があった。地域は豊かになりますよ─島田座長がふと漏らした言葉が心に残った。888億円で「箱もの」がつくられ、維持コストで財政圧迫をきたしている。シャッターが閉じた商店街、深刻な若者の雇用環境、北部地域の人口減少も見られる。地域の課題は残ったまま豊かさの実感はない。

一方、辺野古移設ではキャンプ・シュワブ周辺の久辺3区(辺野古、久志、豊原)に直接振興費の交付が伝えられている。菅義偉官房長官は久辺3区に直接振興費を支出する理由を問われ「迷惑料」と述べた(11月7日付本紙)。反対運動の違法駐車や交通量の増加で補助金を流す理由も述べたが、札束で人心は得られない。

補助金適正化法は、補助金等の交付申請、決定等に関する事項、予算の執行に関する基本的事項を規定する。補助金交付の基本法において県、市町村を飛び越え末端の行政区に補助金(迷惑料)を交付するやり方は沖縄に根付くはずがない。補助金の本質がゆがんで見える。
(沖大、沖国大特別研究員)
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2015年11月13日

■『まず、戦略思考を変えよ』

■『まず、戦略思考を変えよ』
〜21世紀、戦略は最高のアートになる〜

すごい本に出合った。著者は田坂広志さん。感動的な戦略思考が述べられている。21世紀、戦略は最高のアートになる─本の帯書きである。その先を読め、そこから戦略思考が始まる。その先に戦略を築け、そこから戦略行動が始まる。

書店で立ち読みして感動し購入した。著者の田坂広志さんは多摩大学教授の傍ら、いくつかの企業の戦略参謀の仕事をしていることを知った。

言葉の隅々に生命的なビジョンを語る。目次を見るだけでわくわくする。戦略の待機時間を縮め、組織の滞空時間を伸ばせと話す。成功を分析するのではなく「市場の原理」の洞察を説く。

「山登り」の戦略思考を捨て、「波乗り」の戦略思考を身につけよと例示する。重層的な戦略、戦略的な反射神経の鍛え方にも触れる。

「戦略と戦術の垂直統合」を図り「戦略の創発プロセス」を促せとも述べる。機械的なデザインは描くな。生命的ビジョンを語れと説く。最後に21世紀、戦略は最高のアートになる。目次を見るだけでも吸い込まれていく。

想像力に満ちた物語。ビジョンを語るときは物語が必要だという。それを聞いた人々が、イマジネーションを刺激され、インスピレーションが得られるような「創造的な物語」を語ることはきわめて大切なことだと説く。創発の場としてコンソーシアムは生命力あふれるビジョンだという。

「遊び」のある方向感覚─経営者やマネージャーの語る生命力が失われた理由に掲げる。

ビジョンから「遊び」が失われた。「何を目指すのか」ということは、サーフインに例えていえば「方向感覚」のこと。そしてサーフインにおいて、この方向感覚を持つとき、その「遊び」の部分が非常に重要。あまりにも硬直的な明確な一点を目指していると、突然やってくる波に柔軟に対応できず、そのため波をうまく乗りこなせない。

目指している方向があいまいであると、突然やってくる波に勝手に運ばれてしまう。方向感覚を持つとき、適度な「遊び」の部分が非常に大切だと話す。

波乗りの戦略思考においてビジョンを語る。ビジョンというものにも、適度な「遊び」がないと「創造性」を失う。この本を読みながらイマジネーションが刺激された。

魂の宿らない単なる「設計図」を描いてはならない─アートとしての戦略思考は示唆に富む。新しい思考スタイルは読む人を吸い寄せる。
posted by ゆがふ沖縄 at 00:03| 大学の窓から | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする