2015年11月11日

■マネーが地域を踏みつぶす

■マネーが地域を踏みつぶす

『エンデの遺言』のプロローグの文章だ。この本は根源からお金を問う。暴走するお金の正体を探る。内橋克人さんが書いたプロローグを読むと文章の技術、筆力に吸い込まれる。

『エンデの遺言』─その深い衝撃を内橋さんは突く。マネーが地域を踏みつぶす。

この本を読みながら巨大マネーで沖縄の米軍基地建設の歴史を思い出した。銃剣とブルドーザーで5万世帯の土地を強制接収した。集落が完全につぶれた。分断された集落もある。道路建設で海につぶれた土地もある。極東最大の基地建設が始まった。1950年から53年までに2億7千万ドル(当時の為替レートで970億円)で米軍基地の原型ができた。今の貨幣価値で2兆7千億円。暴走するお金の姿が「沖縄」の悲劇を生んだ。ドルの雨が降ったが住民は弾圧された。暴走するお金の正体があった。

『エンデの遺言』は世界を覆う金融システムとその上に乗って自己増殖しながら疾駆する「貨幣」は、人間労働の成果と自然を含む価値高い資源を、貧しい国から富める国へと移す道具となっていると内橋さんはプロローグで紹介する。

変質する貨幣の全体が『エンデの遺言』に凝縮する。世界をめぐる貨幣は300兆ドル。地球上に存在する国々の国内総生産は30兆ドル。世界の輸出入額は8兆ドル。この巨大な通貨の総体は、そのままコンピューターネットワークを従僕とした世界金融システムと同義であり、その金融システムは「商品として売買される通貨」をこそ前提とすると内原さんは解説する。

『エンデの遺言』が私たちに呼びかけるメッセージの内実はあくまで深く真摯なものだとも解く。マネーの暴力も述べる。

地域はしばしばマネーの足下に組み敷かれた─戦後の沖縄の歴史につながる言葉にもつながる。沖縄を統治した高等弁務官資金を連想させる。

プロローグの結びの言葉は胸に響く。
「ミヒャエル・エンデが通貨を問い直すことで覚醒されたものは、明らかに次の時代を担う思潮としての、そこに生きて呼吸する人間を中心に据えた「経済」への熱烈な希求心である」

「エンデ」のラストメッセージを掲げる。
『人間が生きていくことのすべて、個人の価値観から世界像まで、経済活動と結びつかないものはありません。問題の根源はお金にあるのです。・・・そこで、いまの貨幣システムの何かを変えるべきなのか』

『人類がこの惑星上で今後も生存できるかどうかを決める決定的な問いです。お金は人間がつくったものです。変えることができるはずです』

* * *
秋の夜長。2階の窓から冷たい風が注ぐ。窓から南風原方面を眺めると明かりは消えることがない。朝は太陽が昇る。「お金」という太陽は上りつづけるだろうか。マネーパワーの限界はあるだろうか。
posted by ゆがふ沖縄 at 00:01| 大学の窓から | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする