2016年04月04日

■沖縄に深く根付く貧困

沖縄社会の底辺に疼く貧困───。日本復帰44年を迎える沖縄社会の現実です。
貧困の疼き・・・沖縄振興のシステム欠陥ではないのか。
貧困問題について沖縄タイムスに掲載された「論壇」をブログで紹介します。
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2016年4月1日 沖縄タイムス「論壇」
沖縄に深く根付く貧困
 撲滅 社会全体で取り組もう
   宮田 裕

県が発表した「沖縄子ども調査」で貧困連鎖が明らかになった。経済的困窮が子どもの教育と将来に影響する。本紙報道を読みながらこれは政治の恥なのではないかと端的に思った。

授業料を払えず高校を中退する子どもたち。電気料金が払えなくて電気が切られる家庭。国民健康保険を滞納し病院へも行けない貧困の現実。子どもは親を選べない。貧困の疼(うず)き、親にはどうにもできない事情が浮かび上がる。

沖縄振興計画で道路、空港、港湾等は整備され社会経済は進展したが、社会の片隅で子供たちが貧困に置かれている。解決の糸口が見えないことは行政の怠慢ではないか。

就業者の45%は非正規雇用でそのうち80%は年収150万円で暮らす。子供の貧困率37.5%(全国13.8%)、ワーキングプア率25.9%(同9.7%)。

沖縄振興計画、そこには「貧困対策」がない。振興予算は道路、空港、港湾など土建業などに流れ、社会の底辺で生きる弱者に光は当たらなかった。貧困層に手を差し伸べることもなかった。政策不在のしるしではないか。低収入、格差社会、貧困が子どもの成長を阻む。沖縄振興に子どもの貧困対策の処方箋はなぜなかったか。

敗戦後、貧しくて義務教育を受けていない人々もいる。一家を支えるために働きに出ていたのだ。中高年を迎えて教育に目覚め非営利法人「珊瑚舎スコール」で学んでいる。珊瑚舎スコールは人間の尊厳と誇りを取り戻すため、個性豊かな普遍的文化の創造と生きる喜びの価値観を手に入れるため学校教育の一つだ。貧困連鎖で教育を受けられなかった高齢者のためのカリキュラムで夜間中学の卒業証書が授与される。苦しくて貧しい過去を取り戻す教育が心にしみ入ってくる。

行政がようやく貧困対策に動いた。どうして無頓着だったのか。貧困層を対象とした「プロジェクト」はなぜなかったのか。あまりにも長い間、目に見えないまま放置されていたのだ。

2013年6月26日、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が施行された。子どもの将来が生まれ育った環境に左右されないよう貧困対策を総合的に推進する─とある。同法第9条に基づき本年4月から「沖縄県子どもの貧困対策推進計画」がスタートする。教育支援、生活支援、親の就労支援、子どもの居場所確保は喫緊の施策だ。

貧困は沖縄社会に深く根を下ろす。貧困の子どもたちにわれわれは何をすべきか。社会全体で貧困撲滅に取り組み、子どもたちが健やかに育つ環境を整備すべきだ。
posted by ゆがふ沖縄 at 00:01| 宮田裕の「沖縄振興論」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする