2016年08月31日

沖縄返還協定・復帰に伴う諸問題質疑応答要旨(10)

沖縄返還協定・復帰に伴う諸問題質疑応答要旨(10)
1971年10月〜12月:第67国会(臨時会)
●沖縄返還協定特別委員会
●沖縄及び北方問題に関する特別委員会

■ニクソン大統領の北京訪問によって、極東の情勢が全く変貌する。従って沖縄返還協定は、やり直すべきであるという論議に対する総理の見解はどうか。

(佐藤内閣総理大臣)
ニクソン訪中が直ちに極東情勢の変化に結びつくかどうかは、なお慎重に見極めなければならないが、このことによって返還協定を再検討することは全く考えていない。

■返還協定調印後まもなくニクソン大統領の訪中が発表されたが、アメリカのそのような方向を承知のうえで調印されたのか、それともそれには無関係に調印されたのか。

(福田外務大臣)
アメリカの対中国政策の転換は、ニクソン大統領が就任した時から始まっている。しかし、1969年の日米共同声明の出た時点においては、アメリカ側も対中国政策模索の時期であって、具体的なことは固まっていない段階において沖縄返還は合意されたと理解している。

■昨3月15日返還協定の批准書が日米間で交換され、いわゆる法的な手続きは完了したことになると思う。返還までの残された60日間に外務省としてどういう事柄を片付けなければいけないのか、また、円滑に本土施政権下に入るためにはどういう問題が残っているか。

(福田外務大臣)
批准書の交換により条約上の手続は終了したが、残された第一の問題は核抜きの問題である。サンクレメンテ会談で両首脳が合意して、以来ずっと協議しているが、5月15日までにはこの点をきちんとしなければならない。

次に基地縮小の問題もサンクレメンテ会談で合意しているので、返還前にも返還後の話をしておきたい。

第三に労務契約また土地契約の更新の問題は施設庁がいま鋭意努力中であるが、外務省としても努力するという構えでいる。

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2016年08月30日

沖縄返還協定・復帰に伴う諸問題質疑応答要旨(9)

沖縄返還協定・復帰に伴う諸問題質疑応答要旨(9)
1971年10月〜12月:第67国会(臨時会)
●沖縄返還協定特別委員会
●沖縄及び北方問題に関する特別委員会

■平和条約第三条と施政権返還というものとの関係をどう理解したらよいのか

(外務省井川条約局長)
平和条約第三条は、「唯一の施政権者する信託統治制度の下に置くこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する」と、日本国の同意義務を掲げてある。

しかし、アメリカは何も三条に基づいて完全に信託統治に置くという義務を持っていない。従って、この三条によって現在持っている施政権をわが国に今度の協定によって返すというわけで、小笠原協定、奄美大島協定も全く同様な法的構成によって行われている。

■平和条約は多数国間条約だが、アメリカ以外の連合国との関係はどうなるか。

(外務省井川条約局長)
三条に基づく唯一の権利保持者はアメリカである。従って、アメリカ合衆国と日本との間の協定によって第三条の権利を放棄することができると考える。

現在までの奄美大島協定、小笠原協定もそれによって行われている。そして他の国から何らの意義も出されていないし、今度の場合も何らの意義が出され得るべきものではないと思っている。

■この国会で返還協定が承認され、また、米国上院の同意が得られた場合、万一関連国内法が国会において成立しなかったときには、協定発効の批准書交換はどうなるか。

(佐藤内閣総理大臣)
返還協定の諸法案は、沖縄の円滑な復帰を期するために必要なものである。これに基づく諸準備が遅れると、本土復帰が行われ得ない事態に立ち至るので、批准書の交換を行い得ないこととなる恐れがある。
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2016年08月29日

沖縄返還協定・復帰に伴う諸問題質疑応答要旨(8)

沖縄返還協定・復帰に伴う諸問題質疑応答要旨(8)
1971年10月〜12月:第67国会(臨時会)
●沖縄返還協定特別委員会
●沖縄及び北方問題に関する特別委員会

■1969年の佐藤・ニクソン共同声明第四項によるベトナム条項の「協議」というものはもうすでに、なされたか、それともこれからなされる予定であるのか、その場合、どいうことを協議するのか。

(福田外務大臣)
この協議の中には、返還時期の問題が一つあるのであるが、これは5月15日と決定し、動かす余地はない。

もう一つ安保適用の問題だと思うが、適用について特例を設けたいという米側の意思表示に接していないので、結局69年の声明による協議は行われていないのが実情である。残された期間にそういう協議があろうとも思われない。

■佐藤・ニクソン共同声明第四項でベトナム問題に触れている。その中で、米国の努力に影響を及ぼすことなく、その時の情勢に照らし十分協議するとの意見の一致を見ている。

この意見の一致に基づいて、返還協定締結にあたっては、ベトナム情勢等について実質どのような話がなされたのか、見解を明らかにしていただきたい。

(福田外務大臣)
共同声明第四項では、沖縄返還時までにベトナム戦争が終息しない自体であったならば、日米間で再協議しようということになっている。

しかし、ベトナム戦争は、あの声明以来漸次下火になりアメリカ大統領による撤兵計画の発表があったような状態であって、沖縄返還の時期は未確定ではあるけれども、今後の見通しとして、この条項に基づき沖縄問題に関して日米間で再協議するという事態には至るまいと確信している。
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