2017年02月23日

沖縄予算一括計上の本質@

沖縄予算一括計上の本質@
〜敗戦後の財政援助から沖縄予算へ〜

■沖縄振興アンケート
2月22日付の沖縄タイムスは、県内41市町村長に対する「沖縄振興アンケート」結果を報道している。

予算一括計上8割賛成、県内首長「振興に必要」。

沖縄振興は機能したか? 復帰45年を迎えるにあたり、市町村長の考え方を知る内容だ。時宜を得たニュースである。沖縄タイムスのメッセージ力が伝わってくる。

沖縄予算を巡っては、その内容が理解されていないと思う。「振興予算」と称しているので沖縄だけ特別予算で優遇されているという誤解だ。すでにブログでも取り上げたが、沖縄振興の本質について再び取りあげる。

沖縄振興予算と呼ばれたのは、沖縄返還後のことだ。米軍政下では日本政府財政援助金と呼ばれていた。敗戦後の財政援助から沖縄予算までの経緯について検証する。

沖縄振興予算がどのように理解されているのか? まず、沖縄タイムス報道を見てみよう。

沖縄タイムス報道のポイントは次の三点だ。(2017年2月22日付)
@沖縄関係予算は各省庁分が一括計上されることを、首長の8割が肯定
A県も「沖縄振興を進める上で優位性がある」と引き続き必要との認識
B一方「沖縄だけもらいすぎていると誤解される要因」と指摘する声も

アンケート調査のサマリー(SUMMARY)
[1]沖縄担当部局に計上する「一括計上方式」について、県内41市町村首長の約8割が「沖縄にとって必要だ」。

[2]沖縄だけで実施されている一括計上方式に対し、沖縄振興に関わる事業全体の把握や進度調整のために必要という意見。

[3]「廃止した方が良い」という意見。
[4]県は「予算確保の要請が一元的にでき、沖縄振興を進める上で優位性がある」と引き続き必要との認識。

[5]沖縄振興特別措置法や復帰特別措置法に基づいた酒税の軽減措置などの「沖縄関係税制」について全体の27%にあたる11市町村が「延長・維持すべきだ」と回答。15%の6市町村が「見直し・検証が必要だ」と指摘。

[6]国の出先機関の沖縄総合事務局の存廃について、「二重行政になっている業務を見直し、存続すべきだ」と答えたのは46%(19市町村)。「現行通り存続すべきだ」39%(16市町村)。

次回以降、日米両政府の対沖縄財政援助と復帰対策、沖縄予算の変遷について解説する。
posted by ゆがふ沖縄 at 00:01| 宮田裕の「沖縄振興論」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月22日

「話クヮッチー」の沖縄振興策

「話クヮッチー」の沖縄振興策
〜USJ沖縄進出の挫折〜

書かねばならない話がある。米映画テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」の沖縄進出のことだ。“話クヮッチー”だった。

政治の技巧とはこのことをいう。600億円の設備投資、年間来場者600万人で沖縄を切り拓く・・・。夢をばらまいた。

後でわかったことだが辺野古移設問題に理解を求める官邸主導で進められたオペレーション・マニュアルだった。戦略がなく挫折に終わった。

「美ら島財団」の施設運営をブランド力があるとの理由でUSJに移設するシナリオだった。

経済問題を政治で語る戦略ナビゲーションだ。柔軟性に欠けていた。外国資本の導入に異論はない。国際的に知名度を有するUSJの沖縄進出であればなおさらのことだ。

外国資本のノウハウを埋め込んだ「戦略エンジン」として「コア・バリュー」になり得なかった。

問題はビジネスの現場に、政治が介入したことだ。基地とリンクした政府の意図的な匂いが伝わっていた。島田懇談会事業、北部振興策もそうだった。確かに沖縄振興の枠組みや本質は変化している。振興策に「USJ戦略エンジン」を搭載したがパワフルに動くことなく見果てぬ夢に終わった。

世界的な認知度を誇るUSJの沖縄進出は、沖縄観光のステージを変えると期待された。菅義偉官房長官も強力にテコ入れし、北部地域大型観光拠点調査費1億2千万円の予算を計上したが消化不良を起こした。

辺野古建設に理解を得る手段としてUSJの沖縄進出を描いたシナリオ。沖縄振興の「ツボ」になると経済界は経済効果に期待し過熱したが、USJ側は事業内容等の経営計画を一切明らかにしなかった。

誘致の演じ手(政府)も具体的な事業内容を示すことはなかった。県民を蚊帳の外に置いたポリシーメーキングだったのだ。

USJ誘致は政治主導で進められたが、企業側から見れば収益基準を満たすことができるかどうかが判断材料となる。
沖縄振興で思うことは、経済問題に政治が介入してきたことである。

辺野古移設という不透明、不確実で変化の激しい時代環境の中で基地問題が優先する。そのためには、ビジネスの世界にも政治が介入し、振興策を宣撫する。沖縄振興の根幹となる思考は基地問題ではない。振興策にエクスキューズ(言い訳)は許されない。

われわれは、政治のシグナルとして基地とリンクした振興策を見せられてきた。USJの沖縄進出断念と振興プログラムの挫折。「話クワッチー」だけの切り口から学ばなければならない。

ロジックと共感で経済は変革する。新たな沖縄振興のベクトルを考える機会になったのではないか。
posted by ゆがふ沖縄 at 00:07| 大学の窓から | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月21日

ボブ・ディラン「風に吹かれて」

ボブ・ディラン「風に吹かれて」
〜人はどれ位の道を歩めば、人として認められるのか〜
 
ノーベル文学賞に輝いたボブ・ディラン。アメリカの輝かしい歌曲の伝統の中で、新しい詩的表現を生み出してきた。

ボブ・ディラン「風に吹かれて」の歌詞が沖縄と重なる。人はどれ位の道を歩めば、人として認められるのか。

白い鳩はどれ位海を乗り越えれば、砂浜で休むことができるのか。

どれ位の砲弾が飛び交えば、永久に禁止されるのか。人々は何年経てば、自由の身になれるのか。答えは風に吹かれている。

ボブ・ディランは時代や体制への糾弾に始まって、シュールな心象風景や関係性や朴訥な愛を歌った。おびただしいほどの情景と心象、そしてイメージを紡ぎ出している。

沖縄に吹く風はどうか? 辺野古で、高江で権力の風が吹いている。大阪県警の警察が基地に反対する沖縄県民を土人と呼んだ。松井一郎大阪知事と鶴保庸介沖縄担当大臣がそれを擁護した。

昨年暮れに元毎日放送記者・西村秀樹さんと那覇市栄町の居酒屋で泡盛を飲み機会があった。

「沖縄土人発言は植民地意識だ」。「差別を許さないという姿勢を明確に打ち出すべきだ」・・・西村さんの言葉が心に残る。

ボブ・ディランの言葉に共感する。「世の中で一番の悪党は、間違っているものを見ても、それが間違っていると頭でわかっていても、目を背けるやつだ」

辺野古新基地を巡り国が沖縄県を訴えた裁判で、県側が敗訴した。最高裁は弁論を開かず、自治侵害の訴えを棄却した。最高裁判決は県民との隔たりが大きい。沖縄から民主主義を奪い去る判決だ。行政に追随した司法判断に失望を禁じ得ない。色褪せた司法の姿があった。

人々の悲しみが聞こえるのか・・・ボブ・ディランがしゃがれた声で淡々と歌う歌詞は今の沖縄にもつながる。

* * *
辺野古で、高江で、生きるために苦しむ人がいる。沖縄戦を生き抜いた古老の姿を見るのがつらい。生きるために傷つき、それでも故郷を守る・・・・。苦悩は深い。母なる辺野古の海が泣いている。

ボブ・ディラン「風に吹かれて」を聴きながら沖縄の平安を求める。

posted by ゆがふ沖縄 at 00:42| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする