2017年04月20日

沖縄予算一括計上の本質㊵

沖縄予算一括計上の本質㊵
〜敗戦後の財政援助から沖縄予算へ

一括交付金は経常的経費である「沖縄振興特別推進交付金」と投資的経費である「沖縄振興公共投資交付金」に区分される。「沖縄振興特別推進交付金」は沖縄振興に資するソフト事業が対象で交付率は8/10で予算執行手続きを簡素化し内閣府が交付する。

ソフト事業は、自立、戦略的発展、特殊事情等を対象に観光振興、情報通信産業、農林水産業、産業の振興、雇用の促進、人材育成等の事業に交付される。

「沖縄振興公共投資交付金」は、各府省の地方公共団体向け投資補助金等のうち、沖縄振興に資するハード事業に係る補助金等の一部を一括交付金化し、原則各省に移し替えて執行し、交付率は沖縄振興事業費の高率補助が適用される。
主な対象事業は、@交通安全施設整備、A学校施設環境改善、B水道施設整備、C医療施設整備、D農山漁村地域整備、E農山漁村活性化対策整備、F農業・食品化対策整備、G水産業強化対策整備、社会資本整備─などである。

■一括交付金予算額(補正後)
2012年度:1619億円(当初:1575億円)
2013年度:1639億円(当初:1613億円)
2014年度:1763億円(当初:1759億円)
2015年度:1622億円(当初:1618億円)
2016年度:1619億円(当初:1613億円)
2017年度:1358億円(当初予算)

2017年度一括交付金は前年度当初から255億円減の1358億円と大幅に削減された。2014年度以降、沖縄予算は、基地問題とリンクし毎年減額され、特に自由度の高い一括交付金が切り込まれた。

2016年度特別推進交付金交付決定(県分)は485億円、275事業、市町村分316億円1151事業だった。

公共投資交付金は806.6億円(国費ベース)で主な活用実績は社会資本整備402.3億円、農林水産基盤整備124.9億円、新県立八重山病院の整備26.9億円、水道施設整備・工業用水道施設整備102.3億円、環境改善学校施設(陽明高校、狩俣小学校、真和志幼稚園)59.4億円等であった。

posted by ゆがふ沖縄 at 00:59| 宮田裕の「沖縄振興論」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月19日

沖縄予算一括計上の本質㊴

沖縄予算一括計上の本質㊴
〜敗戦後の財政援助から沖縄予算へ

沖縄が本土に復帰した1972年度から2017年度までの沖縄予算の総額は12兆1638億円。そのうち、沖縄振興事業費は10兆9703億円。5次にわたる振興計画が実施されているが、計画ごとの予算内訳は次のとおりである。

@ 第1次沖縄振興開発計画(1972〜1981年度)
沖縄予算の総額:1兆3819億円⇒振興事業費1兆2483億円
A 第2次沖縄振興開発計画(1982〜1991年度)
沖縄予算の総額:2兆2281億円⇒振興事業費2兆149億円
B 第3次沖縄振興開発計画(1992〜2001年度)
沖縄予算の総額:3兆7275億円⇒振興事業費3兆4639億円
C 沖縄振興計画(1992〜2001年度)
沖縄予算の総額:2兆8301億円⇒振興事業費2兆4910億円
D 沖縄21世紀ビジョン基本計画(2012年度〜2021年度)
2012年度から〜2017年度までの予算総額:1兆9962億円
そのうち、一括交付金9621億円、公共事業7901億円

復帰後40年間の振興事業費の使途を掲げる。
沖縄振興計画に基づき、復帰後40年間の振興事業費総額は9兆2181億円(補正後)であった。

9兆2181億円の項目別内訳は次のとおりである。
■道路⇒3兆1108億円(33.7%)
■港湾・空港⇒1兆1174億円(12.1%)
■ダム開発⇒5332億円(5.7%)
■水道・廃棄物処理⇒1兆6007億円(17.3%)
■住宅・都市公園⇒4329億円(4.6%)
■農林水産業⇒1兆4982億円(16.2%)

沖縄県の要望を受け、2012年度予算で沖縄振興交付金(いわゆる一括交付金)が創設された。振興事業費は一括交付金と公共事業費に分類。

沖縄振興一括交付金は、沖縄の実情に即して的確かつ効果的に施策を展開するため、沖縄振興事業を県が主体的な選択に基づいて実施できる制度で新たな沖振法に明記された。

posted by ゆがふ沖縄 at 00:03| 宮田裕の「沖縄振興論」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月18日

沖縄予算一括計上の本質㊳

沖縄予算一括計上の本質㊳
〜敗戦後の財政援助から沖縄予算へ

一括計上の根拠は、内閣府設置法第4条3項19号「振興計圃に基づく事業に関する行政関係機関の経費の見積もりの方針の調整及び当該事業で政令で定めるものに関する関係行政機関の経費の配分計圃に関すること」で規定する。

沖縄振興予算の特色は、農林水産省、国土交通省の公共事業費関係費とそのほか、非公共の文教施設費、沖縄科学技術大学院大学関係経費を計上し、更に、沖縄の特殊事情等に対処する経費(位置境界明確化、不発弾処理、対馬丸関係等)や沖縄振興開発金融公庫補給金の諸経費を計上している。

内閣府沖縄振興局は、関係省庁の指導・助言を受けるために各省から職員を受け入れ、予算作業の円滑化を図っている。

内閣府沖縄振興局で一括計上された予算は、実施官庁である関係各省に予算を移し替える。関係省庁は直轄事業費、補助事業費については沖縄総合事務局(開発建設部、農林水産部)へ予算を流す。国直轄の国道、ダム、国営かんがい排水事業、港湾、空港などは沖縄総合事務局が実施する。

補助事業については沖縄総合事務局から県、市町村へ予算が流れる。補助事業の内容は、県道、市町村道、高校、小中学、病院、住宅、空港、用水供給事業、農業農村整備、上下水道などである。

沖縄振興の枠組みは、@沖縄振興法、A沖縄振興計画、B高率補助、C予算の一括計上を基本とする。このような仕組みは沖縄に与えられた特別措置である。

なぜ、沖縄にこのような特別措置を適用しているのか。それは沖縄の振興開発は「償いの心」が原点になっているからである。

地域の振興計画は、県や市町村が担当すべきであるが、沖縄の振興開発は、政府の貴任で行われている。その理由は沖縄の特殊事情にある。

復帰時の議論を整理すると、沖縄振興法の沖縄の特殊事情とは、苛烈な戦火を被ったことや沖縄が27年間、米軍支配下にあった歴史的事情がある。

多数の離島が存在することや本土から遠隔地にあること、さらに亜熱帯地域にあることや台風常襲地帯である地理的条件、米軍基地が集中している社会的条件などを踏まえ政府は、「贖罪意識」すなわち「償いの心」で沖縄振興に責任を持つことが沖縄振興法の立法趣旨で明確にしている。

復帰後の振興予算については次回に述べる。

posted by ゆがふ沖縄 at 00:25| 宮田裕の「沖縄振興論」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする