2017年07月21日

半世紀後の沖縄振興計画はあり得るのか(38)

半世紀後の沖縄振興計画はあり得るのか(38)

■沖縄振興に10兆9,403億円

[2]雇用・労働
就業者数は復帰当時(1972年)35万9千人であったが、2017年は68万7千人に増加した。復帰後、6〜8%台の高水準で推移していた完全失業率は2016年は4.4%まで改善したが、若年層の失業率は依然として高い(15歳〜19歳の失業率20.0%、20歳〜24歳の失業率8.9%)。

[3]経済規模
復帰時(1972年度)の県内総生産(名目)は4,592億円であったが、2014年度は4兆511億円と8.8倍に拡大。経済規模は観光収入や財政支出の増加等で拡大したが、ものづくり産業の占める割合は復帰後低下している。

沖縄振興で第1次産業に1兆5千億円の財政が投下されたが、県内総生産に占める割合は、復帰時(1972年度)の7.3%から2014年度は1.5%に低下。コストパフオーマンスが悪い。

同期間の第2次産業は27.9%から13.9%に大幅に低下。財政が民間経済を誘導していないことが分かる。自立経済再生の「処方箋」と期待された製造業は10.9%から4%に低下。沖縄振興は自立経済の構築を標榜する。沖縄経済の4%を占める製造業で自立は可能か? 行政は傍観者の立場でなくこの問題をどのように考えてきたのか? 特別措置に依存した体質から何を学んだのか。

沖縄は経済問題を「政治」で語ってきた。要請・陳情、政治力学で特別措置が維持されてきたが、異論・反論があってもいいのではないか。危機に鈍い経営者の問診票が必要と思うが・・・・。特別措置がなくなった時、沖縄の自立が始まる。

かすむ製造業への処方箋はあるのか? 特別措置で沖縄経済の自信は回復できるのか?

オムロン社長の立石義雄さんは、製造業再生の素晴らしい論文を書き留めている。それによると、「第1に得意な分野に事業を集中しているか。第2に自社のコスト、工法、工程が一番合理的と言えるか、第3に高い固定費で無駄なことに挑戦していないか、第4にソフトの分野で本当に競争力があるのか」。

さらに話を続ける。「こうした切り口で企業は自己点検をして変わらなければならない。マネージメントの決断、つまり企業革新だ。これをやれば製造業は沈没しない」

製造業が新しい市場を開くための条件を示している。政治力学、特別措置に依存してきた沖縄の製造業が学ぶ点だと思う。特別措置へのおごりがある沖縄経済への警鐘にもなる。

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2017年07月20日

半世紀後の沖縄振興計画はあり得るのか(37)

半世紀後の沖縄振興計画はあり得るのか(37)

■沖縄振興に10兆9,403億円

復帰後、政府は沖縄振興事業費として10兆9,403億円投入した。その内訳は下記のとおりだ。

第1次沖縄振興開発計画(1972〜1981)⇒1兆2,483億円
第2次沖縄振興開発計画(1982〜1991)⇒2兆149億円
第3次沖縄振興開発計画(1992〜2001)⇒3兆4,639億円
沖縄振興計画(2002〜2011)⇒2兆4,610億円
沖縄21世紀ビジョン基本計画(2012〜2017)⇒1兆7,522億円
          計⇒10兆9,403億円*2017は当初予算

国から11兆円近い振興事業費が投入したが、沖縄はどう変わったか、検証する。

[1]沖縄振興計画は人口増加計画だった。
沖縄県の人口は復帰当時(1972年)97万人だったが、2017年は144万7千人に増加した。復帰後、人口は47万7千人増加したことになる。復帰後の人口増加率は49%で全国の18%を大きく上回る。

復帰直前、沖縄の人口は減少していた。1970年の沖縄県の人口は945,111人であったが71年は939,742人に減少(▲5,369人)したのだ。

復帰したら本土・沖縄間の渡航が自由になり、沖縄県の人口は70万人台まで減少するという意見が多数を占めていた。

第1次振興開発計画の企画立案に際し、初代沖縄開発庁長官・山中貞則は、復帰後の人口減少を食い止め、過疎県に転落しないために人口誘導政策を事務方に指示した。

大臣は「第1次沖縄振興計画は、人口増加政策を基本にせよ」ということであった。「戦前の沖縄は、日本一貧乏県だった。沖縄戦で県土が破壊され、米軍支配の暗い過去がある。復帰後の振興計画は産業基盤の整備を早急に展開しながら、人口を増加し豊かな沖縄県をつくることだ」─振興計画は人口フレームを重視した。

山中大臣は、「経済の再建は質的にも量的にも人でなければならない。沖縄が過疎県に転落するようなことがあったら、沖縄振興計画は絵にかいたもちに終わるだろう、ということは復帰の担い手がいないという島にしてはいけない」という言葉を口にして人口増加計画を指示していた。

振興計画の人口フレームは100万人を超える目標を掲げたが、1次振計以降、4時までの振興計画で人口は目標を超えている。復帰時に97万人だった人口は、145万近くまで増加したことは、当時の議論からは想定外だったのである。

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2017年07月19日

半世紀後の沖縄振興計画はあり得るのか(36)

半世紀後の沖縄振興計画はあり得るのか(36)

■予算の一括計上

振興開発事業は「内閣府設置法」、「内閣府経費配分計画政令」に基づき、内閣府が一括計上する。対象事業は道路、港湾、空港、治山、治水の公共事業のほか、文教、厚生関係の施設整備、沖縄の特殊事情経費などだ。

一括計上された予算は、それぞれの事業を実施する所管省の一般会計へ移し替え、または特別会計へ繰り入れて執行される。

一括計上の根拠は、内閣府設置法第4条3項19号だ。振興開発計画に基づく事業に関する行政関係機関の経費の見積もりの方針の調整および当該事業で政令で定めるものに関する関係行政機関の経費の配分計画に関することと明記、別途政令で規定する。

沖縄予算の特色を整理する。
@農林水産省、国土交通省の公共事業費関係費とそのほか、非公共の 文教施設費、保健衛生施設費を計上。
A沖縄科学技術大学院大学関係経費
B沖縄の特殊事情等に対処する経費の計上(位置境界明確化、不発弾処理、対馬丸関係等)
C沖縄振興開発金融公庫補給金等の諸経費⇒政策金融で経済支援

内閣府沖縄振興局は、関係省庁の指導・助言を受けるために各省から職員を受け入れ、予算作業の円滑化を図っている。

内閣府で一括計上された予算は、関係各省に移し替える。関係各省の指揮監督のもとに、直轄事業は沖縄総合事務局を経由して直轄の国道、ダム、国営かんがい排水事業、港湾、空港などが実施されている。

沖縄総合事務局から県、市町村へ補助事業として県道、市町村道、高校・小中学、病院、住宅、空港、用水供給事業、農業農村整備、上下水道などの公共事業も実施されている。

一括計上と高率補助は、国の責任で沖縄振興を実施する「償い論」として50年間担保されている。
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