2011年11月19日

「制度設計の不備」

シリーズ 「沖縄経済の特異性はどうしてつくられたか」−(8)

<「制度設計の不備」>


 現在の振興事業費は、公共事業中心の振興策となっている。道路、港湾等の社会インフラは本土並みに達しつつあり改善がみられるが、振興事業費が教育、福祉、医療など県民生活と密接な分野に使えるような制度設計になっていない。


 沖縄振興の切り札として金融特区、IT特区等の経済特区が制度化されたが、経済活性化のトリガーとしての優遇税制はほとんど活用されていない。金融特区は、北部振興策の一環として普天間飛行場の辺野古沖受け入れ条件として制度化されたが、事業認定を受けて立地した企業は1社で機能していない。金融特区のメリットは、法人税から35%の所得控除を行うことで銀行業、証券業、保険業を集積するとしているが企業誘致のインセンティブにはなっていない。


 沖縄の金融特区は欧州のダブリン(アイルランド共和国)をモデルとしている。ダブリンは@政府の積極的な介入、A法人税率10%適用、B産業開発庁による積極的なマーケティング活動、C内閣府と業界団体による効率的な運営仕組みづくり、Dアイルランド中央銀行による迅速な金融機関の許認可等政府主導で取り組んでいる。ファンド会計に習熟した会計士、金融、保険専門家育成の大規模プログラム導入による教育水準の高さ、若い労働力の供給等で外国企業が進出している。高度情報通信ネットワークも整備され、便数の多い国際空港があり成功している。


 沖縄の金融特区は制度設計がお粗末すぎる。その他のIT特区、観光特区についても優遇税制の活用実績に乏しく、産業振興の牽引力とはなっていない。企業の立地促進と貿易の振興を図る目的で設置された特別自由貿易地域、那覇自由貿易地域制度については、関税法の枠内で運用されており、アジア諸国と競争していく制度ではない。


  30年間の復帰プログラムが終わり、新たな「沖縄振興法」策定に当たり、稲嶺知事は「魚より釣り具がほしい」として政府に「経済特区」を認めさせたが、沖縄に与えられた経済特区は「魚が釣れない釣り具」で沖縄振興の牽引力になり得ていない。

posted by ゆがふ沖縄 at 01:20| Comment(0) | 沖縄経済の特異性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: