2012年02月19日

7.高等弁務官の沖縄支配(5)

シリーズ:検証・戦後67年の沖縄

7.高等弁務官の沖縄支配(5)


 米軍支配下の沖縄に君臨したキャラウェイ高等弁務官は、絶対的権力をバックに軍参謀的手法で直接統治、布令政治に乗り出した。

金門クラブ会員を対象に演説で沖縄の自治は「神話」であると発言し、「キャラウェイ旋風」を巻き起こすことになる。


 注:金門クラブとは

米陸軍省後援による米国留学を経験した人たちの親睦団体。初期の留学生たちは、軍輸送船で金門橋(ゴールデン・ゲートをくぐったので、これにちなんで命名された。19477月にスタートし、施政権が返還された1972年までに支給された米留学奨学資金件数は1,110件、そのうち、博士号取得者は28人、修士号262人、学士号155人。

(出所:沖縄タイムス『沖縄大百科事典』上)


 キャラエェイ高等弁務官の演説は米軍支配を特徴づける。その全文を掲載する。

■キャラウェイ高等弁務官の演説全文(1)

 (1963年3月5日:ハーバービュークラブ)


 
3.ポール・W・キャラウェイ陸軍中将.jpg
◎沖縄の「自治」は神話

 昨年の6月22日私は、金門クラブ会員の諸君に「現実を直視して」という題でお話しした。その時、私は世界情勢や琉球の情勢をよく把握し、かつ直視するばかりでなく、琉球住民の間でこれまで信じられている多くの神話を払拭するため、諸君の才能や説得力を活用されるよう諸君に要望したのである。今晩もその時お見かけした同じ顔ぶれが多く見えているが、ある意味では同じ男女ではないのである。


 金門クラブは、長足の進歩を遂げてきたのである。諸君はもはや琉球における指導者の地位の幾つかを引き受けてくれと頼まれる日が来るのを待ちわびる必要はないのである。諸君は諸君に投げかけられた指導権を把握しつつあるのである。

 今晩は昨年のテーマから一歩進んで、現在依然として神話が現実を覆っている分野、すなわち、自治と誤称されいろいろな表現であいまいにされている分野について、少しばかり話し合いたいと思う。


 私には琉球において自治とは何を意味し、また何を包含し、あるいは何を暗示しているかについて全般的に理解されていないように見受けられるのである。諸君はこれまでにインドスタンの5人の盲人に1頭の象を吟味させ、象とはどのようなものであるかを言い表せる話を聞いたり、あるいは読んだりしたことが多分あると思う。象のしっぽを偶然つかんだ盲人は「象とは網のようなものである」といい、もう1人は象の太い足にふれて「象とは木のようなものであるといった。3番目の盲人は、たまたま象の腹のところへ歩いて行って突き当り、「象とは壁のようなものである」といった。そして4番目、5番目の盲人もおのおの自分が得た印象を伝えたということである。


 私は「自治」に対しても何かこれと同様の考え方があるのではないかと観察しているものである。つまり、だれでも自己の経験の範囲内でそれを理解しているのである。

 定義によれば「自治」とは、自治政府を意味しているのである。この定義を論理的に結論づければ、琉球列島における自治論者は、外部からいかなる抑制を一切受けない自治政府の樹立に尽力していることになるのである。これはとりもなおさず独立国家を主張していることを意味するのである。

 しかし、彼らは果たして独立国家を主張しているのであろうか。もし、ある人間が新聞で読むものや住民の代弁者だと自称する人々の言葉をそのまま信じるならば、自治の真の意味は著しく誤解されるであろう。あるいは、この用語が故意に人を惑わす意図のもとに使われているのである。

 政治とは実際的な問題を処理していくことであって空想的な計画を作ったり、圧力団体がスローガンを叫ぶことではないのである。政治というものは可能なものを行う芸術であり、琉球において可能なことは、自治とはかなりかけ離れたものである。なぜならば、琉球列島においては、ある段階の政府から他の段階の政府に対して行われる責任の委任が存在するだけである。

 もし私たちが事実を直視するならば、琉球においても、また行政上一区分を構成するいかなる地域においても自治政府はあり得ないという結論に到達するに違いないのである。

 対日平和条約第3条で規定されているように、米国民政府の下で自治政府があり得ないと同様、1州、1省あるいは1県の場合でもそれは不可能である。

 現在の時点で自治政府は架空のものであり、実在しないのである。そして、琉球の住民である諸君の自由意思で再び独立国家となる決定を下さない限り、将来においても自治は存在しないであろう。

 (出所:南方同胞援護会『沖縄問題基本資料集』昭和43年11月)



posted by ゆがふ沖縄 at 00:06| 検証・戦後67年の沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする