2012年08月31日

琉球政府の復帰施策(19)

琉球政府の復帰施策(19)

■幻の「屋良建議書」(12)

〜沖縄復帰の建議書〜

1971年11月18日


3 開発三法案の問題について

 地域開発の目的は、その地域社会の開発を進めることによって、地域住民の生活水準と福祉の向上を図ることであります。したがって、具体的な計画の策定に当たっては、まず地域住民の要望が率直に反映され、計画実施に際しては、地域住民が主体的に参加できるようにしなければなりません。地域住民との密接な連携がなければ地域開発本来の目的は実現できないからであります。
琉球政府行政主席・屋良朝苗氏.jpg

 しかるに、「沖縄開発三法案」の内容を検討してみると、地域開発の原則、すなわち開発計画に中に地域住民の創意を盛り込み、その計画実施に当たっては、地方公共団体が主体的にこれに当たり、国は地方自治体の計画策定並びに実施を財政的に裏付けるための責務を負うとの原則が十分に取り入れられていないように思われます。

 「沖縄振興開発特別措置法」の第4条で開発計画原案の作成については、県知事の権限とされているが、計画の決定は「沖縄振興開発審議会」の議を経て、関係行政機関の長と協議の上、内閣総理大臣が行うことになっております。

 このように、計画の最終決定権は総理大臣に委ねられております。しかも計画決定に重大な影響を与えるとみられる審議会の構成は、その過半数が「関係行政機関の職員」よりなっているのであるから、これでは知事を通じて表明された県民の意見よりも中央の意向によって、すべてが決定されることになりかねません。したがって、この審議会の委員構成は、県民の意向が十分反映させられるよう再考すべきであります。


沖縄振興開発金融公庫.JPG

 さらに、この開発計画を推進するための国の財政負担について、同法案は個別事業ごとに補助率を定めるような仕組みとなっており、しかも、その実質的な決定が政令に委ねるようになっているが、沖縄が終戦以来、国政のらち外に置かれ、異民族支配のもとに放置されてきた結果、各面に幾多の格差を生じていることにかんがみ、この開発計画全体について、国の特段の助成措置が必要であります。


 次に「経済の振興及び社会の開発に資することを目的」に「沖縄開発金融公庫法」が制定されることになっているが、その第4条によれば、資本金については現に沖縄に存する琉球開発金融公社、大衆金融公庫、それに琉球政府特別会計を加えた正味資産を充てるとされています。これらの資産は本来沖縄県民に属するものであるから、国は新たな出資をおこない積極的規定を設け公庫を充実強化し県民の期待に応える必要があります。


 一方、公庫法第3条は「主たる事務所」を那覇市に置き「従たる事務所」を東京に置くとしています。そこで、この「従たる事務所」を通じて貸付業務を行うものができるものとすれば、形式はともかく、運用いかんによっては、東京の事務所が「主」となり那覇の事務所が実質的にこれに従属されることにもなりかねません。このような弊害をなくするためには、東京事務所の任務は、主として関係行政機関との連絡調整に重点を置き、実際の貸し付けは、那覇事務所の窓口を中心にして行うようにすべきであります。

写真
19725月、沖縄復帰時に設立された
沖縄振興開発金融公庫(政策金融機関)

posted by ゆがふ沖縄 at 00:06| 琉球政府の復帰施策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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