2012年09月15日

琉球政府の復帰施策(28)

琉球政府の復帰施策(28)

■幻の「屋良建議書」(21)

〜沖縄復帰の建議書〜

1971年11月18日


 政治行為については、教育の中立性という立場から教育基本法の第8条で制約を受けることは当然でありましょう。それ以上の制約は、教育の中立性を犯し、教育を通じて特定政党を支持するような言動があってはじめて妥当でありましょう。
琉球政府行政主席・屋良朝苗氏.jpg

 しかし、沖縄においてこのように教育を歪め、社会に弊害を与えるような行き過ぎた教職員の政治行動はありません。教育基本法第8条において政治教育を施す義務を教師は負っており、教師は「良識ある公民たるに必要な政治的教養」を児童生徒に体得させねばならないのであります。

 そのためには、教育は自由な雰囲気の中で行われるようにすべきであると考えます。勤評のごときは校長をして教育現場の教職員を職制でしめつけ、権力支配を容易にし、職場を暗くするだけであることは本土の例で明瞭であります。


 勤評実施で本土の教育界は血の争いをおこしました。これを沖縄に持ち込むことは、沖縄の教育に大混乱を招くことが予想され、憂慮するものであります。

 本土における混乱や、沖縄の教公二法のいきさつからして、地公法、教育公務員特例法の条文の中にある規制条項を削除し、特別措置をしていただくよう強く要請するものであります。

 さらに「教育の中立性確保臨時措置法」の適用は不要であります。


 次に「学校教育法」や「施行規則」及び「改定指導要領」がそのまま適用されると、学校現場における教育の自主性が奪われる恐れがありますので、特別な措置と配慮を要請いたします。


3 教育文化諸環境の整備と格差是正

 教育の目的を達成するためには、人的、物的条件整備がまず優先されなければなりません。それに要する費用は、義務教育無償の原則に立って、公費でまかなわれるべきことは当然であります。そして、教育基本法でうたわれる教育の機会均等、教育上差別されてはならないことも当然で、憲法でいう国民の教育を受ける権利が保障されるべきであります。
屋良建議書.jpg

 しかるに、沖縄の場合、同じ日本国民教育を施しながら、教育費に対する県民の負担はその率においてきわめて高いものでありました。したがって、本土の基準に達するには、なお相当の期間を要するものであります。


 校舎や設備の保有状況は、類似県の70%であり、その格差を是正するには多額の資金が必要とされております。
 このような不備な教育条件下では、教育効果は上がらず、教室不足から今なお、数百の老朽、間仕切り教室でそれを補っている状態であります。特に特別教室や屋内体育館、学校図書館などは、ようやく手がつけられたにすぎず、その遅れは比較にならないほどであります。

 本土においては、教育が国の責任において行われるようになって、教育のあらゆる条件は、一定の水準によって全国的にその均衡を維持しております。しかるに沖縄は、この水準にはるかに及ばず、大きな格差を生じているのであります。
 その要因は施政権の分離という異常態勢下においてそれを理由に施政権者と本土政府が責任を回避してきたためであります。

 沖縄に義務教育費国庫負担」法に準じた財政措置がなされたのは、つい5年前からであり、また国の財政支出を義務づけた教育財政関係法に準じた財政措置もまだ十分になされておりません。

 去る大戦において、沖縄の学校校舎は100%破壊されてしまいました。そのため校舎その他も戦後の混乱期において県民が力を合わせてゼロの状態からようやく現在の状態まで整備してきたのであります。それだけに、沖縄の学校校舎に対しては、当然戦災復旧の考え方に立って、国の責任においてその整備を図るべきであります。

 しかるに沖縄振興開発特別措置法案によっても教育環境全般について特別措置が十分に講じられておりません。そこで沖縄における教育現況に留意し、教育水準を一日も早く本土並みに引き上げるよう国の特別の措置と配慮を重ねて要請するものであります。

 なお、沖縄戦で国指定の11の文化財が失われ、かろうじて今163の指定文化財が沖縄に保存されております。これらの文化遺産を国の保護事業で守っていく必要があります。

 沖縄の文化が国民だけでなく広く世界文化へ貢献するよう積極的な国の保護行政を要請するものであります。

 写真:屋良建議書



posted by ゆがふ沖縄 at 00:08| 琉球政府の復帰施策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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