2012年09月16日

琉球政府の復帰施策(29)

琉球政府の復帰施策(29)


■幻の「屋良建議書」(22)

〜沖縄復帰の建議書〜

1971年11月18日


(七)税制、財政、金融について

琉球政府行政主席・屋良朝苗氏.jpg
 沖縄県民は、異民族支配の窮乏を担い、本土と異なった環境の下で苦労しながらやっと今の生活を築いてまいりました。そのため、県民の多くは、いま復帰を目前に控えて、日本国憲法の下で名実ともに日本国民又は人間としての権利を回復することのできることに対する喜びや期待とこれまで営々として築き上げてきた生活の基盤がどのように転換していくかの不安と錯綜した気持ちで政府の復帰対策措置に大いに関心を持っておりましたが、税制措置につきましては、本土政府も沖縄の立場を十分に理解され、前向きの対策が講じられつつありますが、次の点で懸念されるものがありますので、本土政府のご理解を求めたいと思います。

 その第一点は、沖縄租税特別措置法の規定による重要物資の製造等についての所得税又は法人税の免除については、同法の適用期間の残存期間に限り、復帰後もその適用を認められることになっていますが、沖縄の重要産業の一部を改正する立法が、1971年10月20日、立法第145号で公布され、産業の発展もしくは雇用の増大に寄与し、県民の生活の安定に資することが著しいと認められる産業に対して、今後重要産業の指定が行われることとなりますので、その指定のあった産業についても、沖縄租税特別措置法の相当規定が適用されるよう配慮が必要であります。


 その第二は、住民税についてでありますが所得割の課税標準が、前年所得課税の建前から、昭和47年度分のその金額は、沖縄法令の規定による総所得金額の計算の例によって算定される。


 沖縄所得税法は、財産課税としての性質を有する相続・贈与による所得も一時所得としてその課税の対象となっており、本土の所得税法とは異なるので当該相続・贈与に係る所得を除いた金額を所得割の課税標準とする経過措置を講ずる必要があります。


 さらに給与所得については、給与控除額が本土の場合と異なるところから不公平が生じないよう、本土法により算出するする経過措置が必要であります。


 その第三は、自動車重量税の適用に関する問題であります。本土においては、鉄道を含む道路整備5ヵ年計画の財源措置として自動車重量税が新設されておりますが、鉄道がなく道路交通施設の完備していない沖縄にこれを適用することは問題であります。


 したがって当分の間その適用を延期し、その間に総合的な交通機関の整備を図る必要があります。


2 財政措置

 沖縄は、終戦以来異民族支配の下で独立国家並みの制度運営を余儀なくされ、本来国の責任において措置されるべき国政業務まで負担してまいりました。しかも、米国政府が施政権者としての財政的責任を十分に果たしてこなかったため、他府県との教育、社会福祉、産業基盤、その他公共施設等各面において格差を生ずるとともに極度の硬直化現象をきたし、多額の借入金に依存せざるを得なかったのであります。

琉球政府.jpg

 琉球政府のこの借入金の処理については、それが沖縄を異民族支配まで放置してきた結果であることに鑑み、国は自らの責任においてこれを処理し、また単に他府県並みの交付金方式にこだわることなく諸施策の格差並びに借入金の抜本的な対策を講ずることによって、新生沖縄県の発足に当たっては、それが障害にならないよう万全を期していただきたいのであります。


 この点については、すでに本土政府当局は、事柄の本質と問題の重要性を認識され、それが解決について検討されておりますが、その処理のいかんによっては新生沖縄県に深刻な影響を与えることにもなりかねませんので、ここに強く指摘するとともに、琉球政府の借入金以外の債務の処理について併せて要望する次第であります。


 写真:琉球政府

posted by ゆがふ沖縄 at 00:03| 琉球政府の復帰施策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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