2011年11月17日

「硬直化する沖縄県財政」

シリーズ 「沖縄経済の特異性はどうしてつくられたか」−(6)

<硬直化する沖縄県財政>

 沖縄振興策で復帰後,8兆8000億円の振興開発事業費が投下されたが、沖縄県の予算に占める税収の割合は復帰後変わっていない。

 2007年度の歳入構成をみると、自主財源は全体の30.8%で、全国都道府県平均(50%)に比べ財源を大きく国に依存している。歳入総額に占める県税収入の割合は19.9%で全国平均の33.3%に比べると6割弱である。依存財源(69.2%)のうち、地方交付税34.4%(全国23.3%)、国庫支出金25.0%(全国12.2% )の割合が大きい。沖縄の振興開発予算は、ピーク時の98年度4,430億円から09年度は2,166億円に半分以下に減っている。

 沖縄県の経常収支比率は94.9%で危険ゾーンにある。経常収支比率は財政構造の弾力性を測定する指標で人件費、扶助費、公債費等の義務的経常経費に、地方税、地方交付税、地方譲与税を中心とした経常一般財源がどの程度充当されたかを見る指標で、この指標が低いほど普通建設事業費等の臨時的経費に充当できる一般財源に余裕があり、財政構造が弾力的に富んでいることを示す。一般的には、75%程度が安全ゾーン、76〜85%が要注意ゾーン、86%以上は危険ゾーンである。

 財政力指数は、0.29%で財政構造の硬直性と脆弱性を示している。基準財政収入額を基準財政需要額で除して得た数値の当該年度を含む過去3ヵ年の平均値をいうが、「1」に近くあるいは「1」を超えるほど財源に余裕があるものとされ、「1」を超えると普通交付税の不交付団体となる。

 県債残高(借金)は復帰時(1972年度)の21億円から2007年度は6,582億円に拡大し,沖縄県の財政は硬直化している。
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2011年11月16日

「『ザル経済』で産業は停滞」

シリーズ 「沖縄経済の特異性はどうしてつくられたか」−(5)

<「ザル経済」で産業は停滞>

 復帰後、8兆8千億円の振興事業費が投下されたが、経済活動を見ると県内総生産に占める第2次産業の構成比は、復帰時の27.9%から06年度は11.8%に低下している。中でも「ものづくり」の製造業は10.9%から4.1%に低下し民間経済を誘発していない。製造業の割合は全国の21.3%に比べても、その差位は極めて大きい。財政投資は、県外に漏れており、「ザル経済」が経済自立を阻害する原因となっている。

 第1次産業への財政投資は農業振興、農業農村整備1兆1.099億円、森林水産基盤3,533億円、計1兆4,632億円の財政が投下され農林水産業の基盤整備は大幅に進展したが、県内総生産に占める第1次産業の構成比は、復帰時の7.3%から1.9%に大幅に低下している。


 完全失業率は復帰時の3.0%から08年は7.4%(全国4.0%)に2倍以上に拡大し、深刻な雇用・失業情勢が続いている。失業者全体の48%は34歳未満の若年者が占めており、15歳〜19歳の失業率は18.2%、22歳〜24歳の失業率は22.2%で若年者の雇用対策が喫急の課題となっている。振興開発事業費は県内の資金循環が乏しく産業連関から見ると生産誘発、雇用誘発効果はもたらしていない。県民所得は全国最下位で全国平均の7割の水準で低迷している。


 軍用地料収入に依存している市町村の失業率は嘉手納町17.5%、名護市12.5%、読谷村12.4%、金武町12.1%と異常に高く、不労所得(基地収入)が勤労意欲をそぎ落としていると思われる(2005年国勢調査)。

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2011年11月15日

「振興予算は『ODA沖縄版』」

シリーズ 「沖縄経済の特異性はどうしてつくられたか」−(4)

<振興予算は「ODA沖縄版」>


 復帰後、政府は「沖縄振興開発特別措置法」「1次〜3次沖縄振興開発計画」(1972年度〜2001年度)および「沖縄振興特別措置法」「沖縄振興計画」(2002年度〜11年度)に基づき、2009年度までに8兆7,885億円の振興開発事業費を計上した。その結果、道路、空港、港湾、ダム開発など社会資本の整備は急速に進み、沖縄の経済社会は着実に発展してきた。


 しかし、政府の沖縄政策の目玉として実施されている「本土との格差是正」及び「自立的発展の基礎条件整備」のために投下された振興開発事業費は、経済自立には結びついていない。沖縄振興予算の実施機関である内閣府沖縄総合事務局が発注する公共事業費の50%は県外業者が受注し、沖縄の予算が本土に還流するという“ザル経済”を構築しているからである。本土ゼネコン業者は政府の沖縄振興開発事業(公共事業)を受注しているが、県、市町村の税収に貢献していない。


 07年度沖縄県財政の決算によれば、歳入総額に占める地方税収入の割合は19.9%で、全国都道府県平均の33.3%に比べて極端に低い。その原因は、沖縄への財政投資が県外に還流し、資金循環効果に乏しく民間経済を誘発していない仕組みになっているからである。復帰後、政府の責任で沖縄の振興開発を実施しているが、財政資金は、途上国援助として投入されるODA資金と同様にその大半が日本企業の受注で日本に還流する「ODA援助」と形が類似しており、「ODA沖縄版」となっている。
 
posted by ゆがふ沖縄 at 21:39| Comment(0) | 沖縄経済の特異性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする