2016年11月24日

嫌われた人間が大統領になる

嫌われた人間が大統領になる

米大統領選で共和党のドナルド・トランプ候補(70)が予想外の大勝利を収めた。Newsweek 11月10日号に、木村正人さんの大変興味深い記事が掲載されている。

<トランプの逆転勝利は、反グローバル化、反エスタブリッシュメントという意味ではブレグジットと同じ構図。職を奪われ人生を奪われた白人労働者の生存戦略だった>と解説する。

反グローバリゼーション、反エスタブリッシュメント(支配層)のドミノ倒しが続く米国。TPPについても記述している。

<トランプ大統領がこれまでの発言通り、環太平洋経済連携協定(TPP)や環大西洋貿易投資協定(TTIP)交渉、北米自由貿易協定(NAFTA)を破棄したら、すでに曲がり角を迎えている世界経済はさらに減速するだろう> 

安倍首相はどう対応するのだろうか?

<戦後、自由主義の価値を認めない米国の大統領が初めて誕生する>との解説もあった。

木村正人さんによれば、<製造業で213万人、建設業で84万人、農業に従事する自営業者21万人、非農業の自営業者88万人の仕事が失われた。肉体労働に従事する白人中年男性は次第に居場所を失っている>という。

人種差別発言や性差別発言を繰り返したトランプだが、勝利のツボは外さなかった。トランプ勝利の原動力は、グローバリゼーションで製造業の生産拠点が海外に移転し、仕事を失ったホワイト・ワーキングクラスだったと分析する。

このリポートを読みながら、トランプから何を学ぶのか。何が米国をうならせたのか。一癖も二癖もある嫌われた人物が大統領に上り詰めた。しかもトランプの生きざまは精彩鮮やかだ。

夢を現実にしたトランプ大統領。千載一遇のチャンスをものにする。超一流の生き方をする。カネの計算もしたたかなトランプ。米国はどんな運をつかむのだろうか?

逆療法で自分の弱点を克服した男。トランプの「徳」には理屈を超えた力がある。運をつかむ力も実力の一つだろうか。戦い抜く気骨の大統領に世界が注目する。
posted by ゆがふ沖縄 at 00:02| 米軍基地・評論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月22日

土人発言の本質(8)

土人発言の本質(8)
日本政府の沖縄差別D

■放棄された「講和前補償」問題(下)

沖縄は講和前補償として、敗戦からサンフランシスコ平和条約発効まで7年間の米軍が摂取した土地の地代170億円の補償を要求した。

1956年12月13日衆議院外務委員会は、「講和条約発効前の補償問題について」質疑を行った。日本政府は「終戦後から平和条約発効までの米軍進駐でこうむった沖縄人の財産上の損失について要望が頻繁にある。政府としては、重要な問題であるが、沖縄側の言う百数十億円の巨費を要するもので、こうした問題に、それだけの数字があるものかどうか、損失自体に日本政府として調査をすることができない。島民から要望のある土地の損失補償は、財政的に非常に大きな損失となっており、いま直ちにこれを解決することは困難である」と答弁、沖縄県民を失望させた。

沖縄側は納得せず、重ねて要求したが、1957年3月9日、自民党政務調査会と総務会は、政治決断として170億円の要求に対し、沖縄への見舞金として総額11億円で最終決着を図った。

見舞金内訳は、講和条約発効前の土地補償関係10億円、外地引揚者関係8,000万円、元沖縄県庁職員の恩給関係2,000万円 であった。日本政府からの土地補償見舞金10億円は、1958年1月25日に開催された全島受任者会議で「旧正月に間に合わせるよう各市町村を通じて当該者に支給する」方針が決定され、支払いがなされたが、米軍占領下にあった沖縄では、講和前に受けた被害額170億円の補償に対して、日本政府は10億円の被害見舞金で決着したのである。

* * *
おわりに

なぜ沖縄の人たちは土人と呼ばれたのか? 差別構造は「日本政府南方連絡事務所」に源流があったのだ。復帰直前、私は沖縄北方対策庁沖縄事務局で沖縄復帰対策の仕事をしていた。その時、「日本政府南連」の資料を見て驚愕した。土人発言の水脈をたどると構造的沖縄差別の源流は南連ではないかとの思いから日本政府の沖縄差別を歴史の証言として取り上げた。

沖縄を思うとき、差別が今も織りなされている。辺野古で、高江で今、何が起こっているのか。目を覆いつくす不条理、国家権力。けれども県民はたくましい根をひとつにする。日本は醜い国家である。

本ブログを書いた目的は、「土人発言の本質」について琉球新報「論壇」に投稿したら封印された。自覚できないジャーナリストがいることに驚いたからである。国家の沖縄差別を伝えることも目的のひとつであった。県民は知らないからだ。それでいいだろうか? ひとつの現実の底を見た思いである。土人発言の暴言、差別構造、その内実があふれるようにあらわになっているのが今の沖縄である。

11月21日、夜6時から沖縄タイムス主催のシンポジュム『沖縄から問う 報道の表現の自由』を聞いた。「差別主義者との闘い」に触れていた。沖縄タイムス編集局長・石川達也さんの「土人発言・・・誰がさせているのか」は興味があった。取材していた記者が拘束された話をしていたが、沖縄から発信するマスコミ人の真髄が伝わる。

ジャーナリストの安井浩一さんは「権力と市民に公平性はあり得ない。不均衡、不公平、非対称性が沖縄の現状だ」と分析した。

毎日新聞特別編集委員の岸井成格さんは「権力が判断したら不公平、不公正になる」と話していた。被害者を出している巧妙、執拗な沖縄の現状に触れた。沖縄を伝えるのが沖縄の闘いだと述べた。

ワシントンポスト東京支局長、アンナ・フアイフィールドさんは「トランプが辺野古に来ると国際的関心を呼ぶ」と政治のシミュレーションに触れた。いろいろな考え方があるなぁ〜と思った。

シンポジゥムを聞いて思った。変わることのない差別。『沖縄は「権力の傲り」を許してはならない。これ以上の運命を背負って生きるわけにはいけないからだ』。(本稿終わり)



posted by ゆがふ沖縄 at 01:25| 米軍基地・評論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月21日

土人発言の本質(7)

土人発言の本質(7)
日本政府の沖縄差別C

■放棄された「講和前補償」問題(上)

講和前補償とは、講和条約発効(1952年4月28日)以前に米軍が与えた損害補償の未解決問題であるが、日本政府は沖縄住民が受けた被害を放棄した。沖縄県対米請求権協会発刊の『対米請求権の記録』を基本に、沖縄無視の「講和前補償問題」について検証する。

損害被害の一つは、基地建設に伴う接収された土地、建物の被害、農地を接収された農作物及び「離作」の損害、軍用地に隣接している土地、建物の浸水、土砂流出などの近傍財産の損害、井戸、墓などの損害補償を放棄したことである。

二つは、米軍人、軍属などによる人身被害補償である。講和条約発効前までの人身被害は、死亡315人、負傷760人。罪状別に見ると死亡は、車両事故145人、射殺6人、轢殺7人、強姦致死4人、損害は車両事故108人、発砲による傷害32人、袋たたきによる傷害23人、凶器による打撲22人、強姦111人などが発生したが未放置した。

三つは、米軍の爆撃・射撃演習、上陸訓練演習などによる漁業被害補償である。
1955年5月、「軍用地四原則」を掲げて渡米した比嘉秀平行政主席以下6人の住民代表団は米国に対し、沖縄の実情を訴え「講和前補償」を要請したが、米側は、日本政府は講和条約第19条の規定によって如何なる請求権も放棄しているので米国としてはその責任を負えないと回答している。

一方、日本政府は、沖縄住民の請求権補償について、1956年12月、根本龍太郎官房長官は次のように述べている。

「平和条約19条にいう日本国領土には沖縄が含まれず、同規定にいう国民に沖縄住民が含まれないと断定することは困難であるという前提に立ちつつ、@日本国としても、外交上の保護権として沖縄住民の損失補償を米国に対して請求することは問題があるA講和前の沖縄は行政分離されているので、沖縄住民の土地の使用料については関知していないし、講和後においても米国が施政権を行使しているので、補償する責任はない。」─とし沖縄切捨ての答弁を行っている。







posted by ゆがふ沖縄 at 00:00| 米軍基地・評論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする