2012年02月20日

7.高等弁務官の沖縄支配(6)

シリーズ:検証・戦後67年の沖縄

7.高等弁務官の沖縄支配(6)


■キャラウェイ高等弁務官の演説全文(2)
 (1963年3月5日:ハーバービュークラブ)

3.ポール・W・キャラウェイ陸軍中将.jpg
◎まず、責任と能力の実証

 琉球列島の最終責任を実際に有するものとして、私は、それ相当の責任を持つとか、または持たないとか、行動する能力を示すとか、または示さないとかという完全な行動の自由について話すのではなく、政治的現実に限定して話を進めたいと思う。

琉球政府に対し、「いつ如何なる状況の下に、もっと多くの機能を委任できるかを決定するために、琉球列島における政治的諸機能を継続的に検討していく」のが米国の政策である。このような検討は、現在も継続して行われているのである。

諸機能の移管に当たって私としては、「自治」を要求する声よりも、むしろその実績によって裏付けられた「責任」と「能力」の度合いに考慮を払わざるを得ないのである。

大統領行政命令には、国防長官はその権限を行使するに当たって「効果的でかつ責任ある琉球人による政府の促進を助長しなければならない」と規定しているのである。これを簡単に言えば、琉球政府がさらに「責任」ある、かつ「効果的」なものになるにつれて諸機能が同政府に委任されるということである。

如何なる場合に責任ある政府といえるであろうか。私の答えは

1.単に実質のない装飾的な政府の特権ではなく、委任された義務と職分を受領する場合

2.政府が全住民の福祉向上を図るために真に努力する場合

3.政府が真に政府自体およびその各職員を住民の公僕として考える場合

4.適正な政治を行い、経済および社会の発展を助長し、一般生活水準を向上させるため政府に合法的に帰属するあらゆる必要な施策を進んで講ずる場合


 如何なる場合に効果的な政府といえるだろうか。私の答えは、納税者の最小限の負担で政治の安定並びに住民の福祉で最大の効果を上げながら合法的な機能を効率的に行使する場合において、効果的な政府といえると思うのである。

琉球政府はその行為および決済に対する責任を喜んで受け、政府の機能を十分行使する能力があることを実証することによって、一層大幅な責任を得ることができるし、また、現に得つつあるのである。

機能の移譲は要求されているのが責任ではなく、権力だけであるということが明白に実証される場合はあり得ないことである。また、機能を移譲することによって特殊な利益団体が納税者の負担で利益を享受し、あるいは一般住民を無視して社会のある特権層が利益を享受ことになるということが記録によって明らかに示される場合も権限の委譲はあり得ないのである。


(出所:南方同胞援護会『沖縄問題基本資料集』昭和43年11月)





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2012年02月19日

7.高等弁務官の沖縄支配(5)

シリーズ:検証・戦後67年の沖縄

7.高等弁務官の沖縄支配(5)


 米軍支配下の沖縄に君臨したキャラウェイ高等弁務官は、絶対的権力をバックに軍参謀的手法で直接統治、布令政治に乗り出した。

金門クラブ会員を対象に演説で沖縄の自治は「神話」であると発言し、「キャラウェイ旋風」を巻き起こすことになる。


 注:金門クラブとは

米陸軍省後援による米国留学を経験した人たちの親睦団体。初期の留学生たちは、軍輸送船で金門橋(ゴールデン・ゲートをくぐったので、これにちなんで命名された。19477月にスタートし、施政権が返還された1972年までに支給された米留学奨学資金件数は1,110件、そのうち、博士号取得者は28人、修士号262人、学士号155人。

(出所:沖縄タイムス『沖縄大百科事典』上)


 キャラエェイ高等弁務官の演説は米軍支配を特徴づける。その全文を掲載する。

■キャラウェイ高等弁務官の演説全文(1)

 (1963年3月5日:ハーバービュークラブ)


 
3.ポール・W・キャラウェイ陸軍中将.jpg
◎沖縄の「自治」は神話

 昨年の6月22日私は、金門クラブ会員の諸君に「現実を直視して」という題でお話しした。その時、私は世界情勢や琉球の情勢をよく把握し、かつ直視するばかりでなく、琉球住民の間でこれまで信じられている多くの神話を払拭するため、諸君の才能や説得力を活用されるよう諸君に要望したのである。今晩もその時お見かけした同じ顔ぶれが多く見えているが、ある意味では同じ男女ではないのである。


 金門クラブは、長足の進歩を遂げてきたのである。諸君はもはや琉球における指導者の地位の幾つかを引き受けてくれと頼まれる日が来るのを待ちわびる必要はないのである。諸君は諸君に投げかけられた指導権を把握しつつあるのである。

 今晩は昨年のテーマから一歩進んで、現在依然として神話が現実を覆っている分野、すなわち、自治と誤称されいろいろな表現であいまいにされている分野について、少しばかり話し合いたいと思う。


 私には琉球において自治とは何を意味し、また何を包含し、あるいは何を暗示しているかについて全般的に理解されていないように見受けられるのである。諸君はこれまでにインドスタンの5人の盲人に1頭の象を吟味させ、象とはどのようなものであるかを言い表せる話を聞いたり、あるいは読んだりしたことが多分あると思う。象のしっぽを偶然つかんだ盲人は「象とは網のようなものである」といい、もう1人は象の太い足にふれて「象とは木のようなものであるといった。3番目の盲人は、たまたま象の腹のところへ歩いて行って突き当り、「象とは壁のようなものである」といった。そして4番目、5番目の盲人もおのおの自分が得た印象を伝えたということである。


 私は「自治」に対しても何かこれと同様の考え方があるのではないかと観察しているものである。つまり、だれでも自己の経験の範囲内でそれを理解しているのである。

 定義によれば「自治」とは、自治政府を意味しているのである。この定義を論理的に結論づければ、琉球列島における自治論者は、外部からいかなる抑制を一切受けない自治政府の樹立に尽力していることになるのである。これはとりもなおさず独立国家を主張していることを意味するのである。

 しかし、彼らは果たして独立国家を主張しているのであろうか。もし、ある人間が新聞で読むものや住民の代弁者だと自称する人々の言葉をそのまま信じるならば、自治の真の意味は著しく誤解されるであろう。あるいは、この用語が故意に人を惑わす意図のもとに使われているのである。

 政治とは実際的な問題を処理していくことであって空想的な計画を作ったり、圧力団体がスローガンを叫ぶことではないのである。政治というものは可能なものを行う芸術であり、琉球において可能なことは、自治とはかなりかけ離れたものである。なぜならば、琉球列島においては、ある段階の政府から他の段階の政府に対して行われる責任の委任が存在するだけである。

 もし私たちが事実を直視するならば、琉球においても、また行政上一区分を構成するいかなる地域においても自治政府はあり得ないという結論に到達するに違いないのである。

 対日平和条約第3条で規定されているように、米国民政府の下で自治政府があり得ないと同様、1州、1省あるいは1県の場合でもそれは不可能である。

 現在の時点で自治政府は架空のものであり、実在しないのである。そして、琉球の住民である諸君の自由意思で再び独立国家となる決定を下さない限り、将来においても自治は存在しないであろう。

 (出所:南方同胞援護会『沖縄問題基本資料集』昭和43年11月)



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2012年02月01日

7.高等弁務官の沖縄支配(4)

シリーズ:検証・戦後67年の沖縄
7.高等弁務官の沖縄支配(4)

屋良新主席就任における

アンガー高等弁務官挨拶


 琉球政府行政主席は高等弁務官の直接任命制だった。米国民政府は宥和策として196512月、行政主席を立法院で選挙する間接選挙制を採用、663月の立法院で実施した。

 その後、沖縄で自治権拡大を求める主席公選運動が島ぐるみで発展し、米国は抑えきれなくなった。

 196811月、沖縄で初めて主席公選が行われ、革新統一候補の屋良朝苗氏が当選する。米軍統治下で自治権拡大を勝ち取ったのだ。沖縄全島が湧き上がった。


 1968123日の夜、屋良朝苗・琉球政府行政主席就任レセプションがあった。そこには沖縄を統治するアンガー高等弁務官の姿があった。アンガーは沖縄との宥和策を披露して見せた。

私の手元にアンガー高等弁務官が読み上げた挨拶文(和訳)のコピーがある。ブログで公開する。挨拶文の中でアンガー高等弁務官はジョンソン米国大統領のメッセージも読み上げた。敗戦から23年経過した米国の沖縄統治政策にようやく変化の兆しがあった。


 □ □ □
◎アンガー高等弁務官挨拶
 (1968123日・屋良主席就任レセプション)

屋良行政主席並びにご臨席の皆様

 この慶祝すべき琉球史上、初の主席公選の就任祝賀会にあたり、私は衷心より祝意を表するものであります。

特に今夜は、リンドン・B・ジョンソン米国大統領からのメッセージを屋良主席にお伝えする機会を得ましたことは、私の重ねての喜びとするところであります。


 この大統領のメッセージは去る1130日、屋良主席が就任する前日に大統領によって署名されたのであります。

 それではジョンソン大統領のメッセージを読ませて頂きます。
 * * *

沖縄那覇市 琉球政府 屋良朝苗次期行政主席殿


 貴殿が琉球政府行政主席として就任するにあたり、私は貴殿が琉球政府行政主席として就任するにあたり、私は貴殿が琉球史上初の自由で民主的な主席公選において当選されたことに対し、心から祝意を表する次第であります。

 私は、琉球政府と米国民政府が今日まで築きあげてきた緊密にして実のある協力体制を今後とも維持されんことを確信し、かつまた貴殿と高等弁務官が今後とも建設的かつ効果的な交誼を深めていかれることを固く信じるものであります。

 アメリカ合衆国はこの目的に沿って、これを推進していくことを貴殿と共に固く決意し、今後とも友好と協力を誓うものであります。

                                                              敬 具

19681130日 リンドン・B・ジョンソン

 * * *
 この大統領署名入りの書簡は、近く貴殿に送られてくることになっています。

屋良主席殿、琉球住民が貴殿に授けられた栄誉は、とりもなおさずそれに等しい重大な責任、すなわち健全な経済発展の基盤に根ざした福祉安寧を推進する方向に着実に住民全体を指導していく責任を伴うものであります。これこそ貴殿がこの重要課題に正面から取り組み、琉球における近代的民主主義をさらに発展せしめるべく賢明に指導することを確信するものであります。


 ジョンソン大統領が明らかにしたように、米国は今後とも貴殿の任務遂行にあたって友好と協力を惜しまないのであります。そのために、私並びに米国民政府は、支持と協力を約束するものであります。

 私は貴殿がその任期をつつがなく実り多きものにされんことを心より願うものであります。
 
  1968123日     F.T.Unger
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