2012年03月19日

琉大生が見た「沖縄基地問題」(26)

琉大生が見た「沖縄基地問題」(26)

振興策は「アメ」・地域が成り立つ仕組みを

 総合社会システム学科・U(男性)


 普天間飛行場の辺野古移設や島田懇談会事業、北部振興事業に関する各メディアの報道を見て思うことは、基地問題と振興策は基本的に分けて考えるべきである。基地所在市町村の振興策は、地元住民に対する「アメ」の役割が強く、事業の中身は乏しく本末転倒である。

基地問題については、これは日本政府の対米関係や東アジア地域における軍事戦略など様々な要素が絡む複雑な問題であり、これまでの歴史を見ても解決にはまだかなりの時間がかかると思う。


 沖縄県(特に北部自治体)にとってこれから重要になることは、地域の活力を生み出せるような努力であり、基地収入に依存しない経済の構築である。その前提になるのが基地を返還して土地を有効利用することで新たな経済価値を生み出すことである。

V字案.jpg 
広大な基地の存在が北部地域の健全な発展を阻害しているのは紛れもない事実であり、基地受け入れで政府が用意した振興策で今まで「ぬるま湯」にずっと漬かっていることが問題である。


  基地返還は喫急の課題であるが、それ以外に必要なのは地域分権(権限と財源の移行)と「人財育成」が大きく挙げられると思う。

  これから地域が生きる道は、地域のことは地域が決める考え方が必要になる。地域間格差の問題は沖縄県だけが抱えている問題ではなく、中央集権の色が強い日本では様々な地域で見られる。中央集権から地方分権を進めることで地域は展望を見出すことができる。

基地と共に苦しんできた沖縄は、私たち一人一人が沖縄の未来に関する問題意識を共有して、互いに議論し、基地が無くても地域が成り立つ仕組みを考えていくことが必要であると思う。


国の基地対策事業について

 総合社会システム学科・M(男性)


 
 沖縄では基地周辺整備事業で生活環境事業を実施している。その他、米軍車両被害による道路の損傷、基地から派生する障害防止工事、学校、住宅の防音工事などが行われてきた。民生安定として道路、公園、ごみ処理施設などにも補助している。特定防衛施設調整交付金も支払われている。

SACO交付金も特別交付金として支払っている。基地問題の弊害を金で解決しているのが基地対策事業の内容である。

 
 しかし、どの対策事業も日本政府が金を出している。おかしいと思う。防音対策や基地交付金などで対策が採られているが、米軍の犯罪についての対策は殆どとられていない。騒音防止対策などは対策が採られているが、県民が安心して暮らすためのものではない。

私は広島県出身であるが、沖縄にきて米軍被害を見てきた。ヘリの低空飛行の騒音にうるさいと感じている。犯罪についても多発している。犯罪対策が重要であり、この問題が解決しない限り県民の基地反対の声は消えないと思う。


 新たな基地建設は沖縄問題を複雑にする。県民感情に配慮すべきだ。

写真:日米で合意されたV字案(滑走路2本)
総面積:205ヘクタール
埋め立て面積:160ヘクタール
埋め立て土量:2100万立法メートル
消失藻場面積:78.1ヘクタール
消失サンゴ面積:6.9ヘクタール 



posted by ゆがふ沖縄 at 00:05| 琉大生が見た沖縄基地問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月18日

琉大生が見た「沖縄基地問題」(25)

琉大生が見た「沖縄基地問題」(25)

基地とリンクした島懇事業・北部振興事業について

 総合社会システム学科・T(男性)


 基地は沖縄に必要でない。二つの理由を述べる。まず一つ目に、基地の経済効果はわずかだということだ。米軍基地は県土面積の10.2%、沖縄本島の18.4%を広大な土地を占めているが、経済効果はわずか5%である。

 さらに言うと、2008年度の軍関係受け取りのうち、約60%が日本政府の「思いやり予算」が投入されており、基地が独自に生み出したものではない。
漢那タラソ沖縄.JPG
 

自治体の財政上の問題もある。基地とリンクした振興策を行うことで北部市町村の基地依存度がさらに高まっていることだ。基地依存度が高いということは、もし仮に沖縄から基地が無くなったときに北部の自治体は基地収入に代わる財源がほとんどないので予算が組めず自治体の体力は弱くなってしまう危険性もある。基地収入と自治体財政の問題は解決されていないからだ。


 島田懇談会事業と北部振興事業は基地とリンクして実施された。両事業は基地とリンクした振興事業であるので市町村財政は基地依存から脱皮できない。北部の自治体が独自に財政運営できるように支援すべきだと考える。基地が無ければ広大な土地を利用して産業の誘致もできる。農地として農産物の生産もできる。それに伴って税収も増える。若い人たちのUターンも期待できる。土地の有効利用ができることで人口も増加する。事件・事故もなくなり地域の治安はよくなる。地域の土地は地域のものである。米軍基地として使用するより地域の発展のために使うべきである。

 返還軍用地の成功事例を見てみよう。牧港ハウジングエリアは返還後、雇用は36倍に増えた。経済効果は14倍に増え、那覇新都心として発展した。北谷町美浜は独特な街づくりで成功した。若者の街としてカフエ、おしゃれな衣料店、娯楽施設、レストランなどができ人々を魅了している。近年は「デポアイランド」と呼ばれるスポットも登場し、見た目も華やかに、さらなる経済効果も期待されている。

 今後北部でもこのような事業を展開していってはどうかと思う。北部は人口減少が続いているが、それを食い止め、地域を活性化するために島田懇談会事業及び北部振興事業が実施されたが経済効果はほとんど見られない。基地受け入れの要素が強く自治体のために役立っていない事業が多すぎる。地域ニーズが反映されていないような事業が羅列され、閉塞感緩和、自立発展方策につながっていないと思う。採算性の面から赤字事業が続出し、振興策が逆に地方自治財政の重しとなっている事例も少なくない。「箱もの行政」の弊害とみるべきだろう。

 北部の将来を考えると基地返還後の跡地利用についてのビジョンも描いておくべきだろう。沖縄の人口は、中部、那覇に集中しているので那覇新都心、北谷のような経済効果は見込めないかも知れないが、北部に人口を誘導する振興策が別途必要と思う。辺野古移設からも分かるように、政府は北部を軽く見ているのではないか。基地を受け入れるから振興事業を実施するのではなく過疎対策、北部への定住人口増加、立ち遅れた基盤整備の側面から振興策を行うべきである。北部の強み、優位性はリゾート観光、農産物供給として地の利を生かし、中南部との格差解消に取り組んでほしい。

写真:基地とリンクした島懇事業「漢名タラソ沖縄」
国費218100万円を投入したが経営は赤字。
(宮田裕撮影)



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2012年03月17日

琉大生が見た「沖縄基地問題」(24)

琉大生が見た「沖縄基地問題」(24)

基地とリンクした北部振興事業について

 総合社会システム学科・I(男性)


 基地とリンクした北部振興策、島田懇談会事業について私の意見を述べる。北部振興の基本方針は、北部地域の人口増加、人口の社会的流出への歯止め、産業の振興として企業誘致の促進であった。

 内発的な産業育成を掲げ、雇用機会の創出、人と産業の定住条件の整備も図ることになっている。結果は掛け声に終わった。政府の北部振興事業は失敗に終わったと思っている。現状を見れば、人口は増えていない。北部へ行く人はせいぜい観光客ぐらいだ。定住条件の整備はなされていない。国からの予算に依存するのは否めないが、金をもらっても基地の存在に伴う精神的プレッシャーを払い去ることはできない。
コザミュージック・タウン.JPG

  国から基地がらみの振興予算で沖縄経済は成長していない。雇用環境もよくなっていない。社会資本の整備は進んだが、県民生活、就業構造などの改善は見られない。基地にまつわる悪いニュースだけが流れ、基地の重圧が沖縄県民に重くのしかかっている。


 私は沖縄市に住んでいるが、島田懇談会事業で「コザミュージックタウン」ができた。この施設は私たち市民にとっては必要ない施設である。スタジオの料金は高く、立体駐車場は有料で金がかかりすぎる。普段は利用されていない。一度行けば懲り懲りする。ライブハウスにアーテイストが来るのはまれなことで、夜になるとホームレスのたまり場で外国人や夜遊びする若者のたまり場となっている。これが基地を抱える見返りとしての振興策の実態だ。広場には、たばこの吸い殻や、ペットボトルなどのごみが散乱し景観上も問題だ。

ゴヤの一番街は相変わらずシャッターの閉まった店が多すぎる。最近は治安も悪くなったように思う。


 島田懇談会事業は、基地の重圧を緩和し経済の活性化に役立つ事業であったはずだ。商店街は疲弊し、市街地のビジネス環境は悪くなっている。振興策で役に立たない「箱もの」ができているが、赤字を市役所で補てんしている。一刻も早く撤去してほしいというのが沖縄市民の声である。



 話は変わるが国直轄事業の振興予算は本土資本に還流し県内で資金循環しない構造的な問題を講義で知った。このような沖縄振興はだれのための振興策か? 県民への配慮が足りない振興の実態に疑問を感じる。


基地を抱え政府に依存する財政構造は変わっていない。ではどうするのか、解決する方向を見いだせないのが沖縄の現実ではないか。とても悔しい話である。


 振興予算の使い道であるが、教育に充てて学力向上に使うべきと思う。学力をつけて、将来、政府に頼らず県民自身の力で沖縄を盛り上げていきたい。基地受け入れのための金は要らないから基地を返してほしいと要求したい気持ちだ。県民の力で沖縄から基地を無くしていきたい。自立・発展の阻害要因を除去することは沖縄の将来にとって重要なことである。

写真:島田懇談会事業で建設された「コザ・ミュージックタウン」
基地の閉塞感を緩和するため28億5400万円の国費投入。維持運営費で毎年5千万円の赤字が出ている。
(宮田裕撮影)



posted by ゆがふ沖縄 at 00:06| 琉大生が見た沖縄基地問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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