2012年07月31日

沖縄地域開発の系譜(42)

沖縄地域開発の系譜(42)


沖縄経済振興の基本構想D
 昭和44年10月22日 総理府特別地域連絡局

(3)農漁業の振興
 沖縄の農業は、主要農産物である甘蔗、パインアップルの豊凶によりその経済が左右される。しかし、甘蔗、パインアップルは、いずれも国際的農産物で、現在、日本政府の保護措置により生産および価格の安定が図られているものの、貿易自由化の趨勢等を考慮し早急に現在の低生産性を脱し、合理化を図ることが必要である。

 沖縄においては、今後とも甘蔗、パインアップルが農業の基幹作物としての地位を占めるものと思われるが、経営の零細性、生産の単一性にかんがみ、農業経営の安定と農業所得の向上を図るための農業構造の改善と生産の選択的拡大が必要である、

 農業構造の改善については、個別経営規模の拡大、機械の効率的利用、生産の組織化、農業基盤の整備など多岐にわたる条件を整える必要がある。このため、@経営規模の拡大に必要な金融上、税制上の優遇措置、A甘蔗、パインアップルまたは養豚を基幹として地域別、経営形態別営農類型の確立、B優良品種の普及、生産技術の向上指導、C圃場整備、灌漑施設その他農業基盤の整備、D機械化の促進、E機械、施設などの共同利用組織、集団栽培などの生産組織の助長等総合的見地からの施策の充実強化が必要である。


 生産の選択的拡大については、今後需要の増加が見込まれる畜産物特に本土向けを含む食肉需要の増大に応じた肉用牛および本土内の農業のみでは供給し得ないとみられる野菜、熱帯性果樹、観葉植物等について、周年温暖な沖縄の気候的条件を活かした振興施策を講ずる必要がある。

 畜産の振興については、@装置改良の推進、バガス、パイン粕、ギンネム等粗飼料資源の活用、A未利用地の畜産的利用の促進、Bダニ、ピロプラズマ病対策防疫衛生の強化、C適正品種の奨励、雑種生産の防止、素牛自給の助長、D価格の安定、E処理加工および流通の近代化、F農協等農業団体による共同出荷体制、共販体制の確立、G市町村畜産指導員の設置、畜産技術研究グループの結成指導など畜産技術普及体制の整備等の施策を推進する。

 野菜、熱帯果樹、観葉植物等については生産の安定を図るため主要産地形成の方向で労働生産性の向上を目的とした@生産技術の確立普及、A病害虫防除対策の強化、B価格の安定、C農協等農業団体による共同出荷体制、共販体制の確立、D農産物市場施設の整備、E規格、包装の統一および改善等の施策を推進する。


 このような農業の振興施策を真に実効あらしめるものとするものに、農村における生活環境の整備に関する問題がある。

 一般に農村は、都市に比し交通施設の不備とこれに関連して医療施設、文化施設等の生産環境施設の利用が困難で、特に離島においてはその傾向が顕著である。このため、農業と他産業との所得格差の問題と共にこれが原因となり若年層を中心とする基幹的労働力の流出を誘発し、地域住民の老齢化、過疎地域化を招いている。このことは、地域住民の福祉の向上、国土の有効利用の観点から好ましいことではないので、農村における生活環境施設の整備が農業近代化の基礎条件であることに留意し、その整備を促進する必要がある。

 漁業は、四面環海の沖縄では伝統のある産業であるが、近時、漁海況の影響を受け生産量の伸びは」鈍化の傾向にある。


 水産物需要は、本土、沖縄を通じ今後増大と変化が見込まれるので、このような情勢に対応し、生産基盤の整備、流通の近代化、経営の改善に努め漁業の振興を図る必要がある。

 このため、生産基盤の整備については、@漁港の整備、A漁礁の設置、B未開発水域の資源の調査活用等を行う必要がある。

 流通の合理化については、@冷凍施設、加工施設、水産物市場その他流通処理施設の整備、A漁協等水産団体の整備強化、共同出荷体制の確立等を図り、経営の改善については、@漁船大型化、装備の近代化、A漁具漁法の改良による省力化の促進、B共同化による経営規模の拡大等を行う必要がある。

 その他、@沖縄の地理的条件を考慮し、主要漁港を本土漁船の前進ないし中継基地として、地元漁業との調整を図り活用するものとし、そのための基本、機能施設の整備を行い、A沿岸漁業振興の担い手として近年注目されているカキ、エビ、ヒトエグサなどの養殖施設の普及、B労働条件の改善と漁業後継者の育成確保、C漁村生活環境施設の整備用を推進する必要がある。



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2012年07月30日

沖縄地域開発の系譜

沖縄地域開発の系譜(41)



沖縄経済振興の基本構想C

 昭和44年10月22日 総理府特別地域連絡局


(1)産業基盤の整備
 沖縄経済の発展を図り、豊かな社会を実現するためには、産業基盤の整備が必要である。

 そのための建設投資は、産業活動の円滑な促進に寄与するのみではなく、消費需要を増大させ新たな投資を誘発する需要効果となってあらわれ、その整備は県民の日常生活を安全快適に営ませる福祉的効果を持ち、地域開発、社会開発を推進するうえで極めて有効な手段となる。

 沖縄の道路、港湾その他の産業基盤施設は戦前における蓄積の貧困、戦禍による破壊に加え、最近における経済の高度成長によりかなりの建設投資の増加にもかかわらず、その立ち遅れが著しい。

 鉄道輸送施設を持たない沖縄では、陸上交通はもっぱら道路に依存し、また四面海に囲まれ数多くの離島よりなる沖縄は、物資輸送の多くを海運に頼っている。しかし、そのための道路、港湾の整備は十分でなく、特に最大の貿易港である那覇港においては、バース難による船舶の沖待ちが顕在化しており、道路、港湾の未整備は経済全般に悪影響を及ぼしている。

 このようなことは空港施設においても同様で、観光需要の増加と所得の増大に伴う国際・国内線を通ずる航空機利用の激増は。終日および安全輸送を目的とした那覇国際空港および離島空港の早急な整備を必要としている。

 用水、電力事情は、産業活動の消長に大きな影響を持っているが、用水については、年間2000ミリを超える雨量を持ちながらその地形、地質は水資源の開発利用を困難とし、飲用水を除いて工業用水、農業用水の確保には相当の努力を必要とする。

 電力については、火力発電により供給されているが、将来の需要増加と新産業の導入を予想し、集中生産、経済供給、供給体制の整備等が望まれる。

 通信施設については、比較的整備が進んでいるが、今後における情報化社会への移行、沖縄・本土間、地域生産主要都市間の交通の緊密化に備え情報伝達手段の一層の整備が必要である。

 これらの産業基盤の整備は、今後予想される、例えば、@畜産振興、A石油、天然ガス等を中核とする大型新産業の導入、B観光開発などの大規模な開発需要に先行して行われる必要があり、しかも事業の種類、投資の規模、順位は情報化社会という新時代に即して考慮されなければならない。

 具体的には、交通通信網の整備については、合理的高速交通体系の確立を目的とした@大規模流通拠点としての主要港湾、空港の整備、A高速船舶の配置、B離島航路の確保、C主要島嶼横断道路の建設等に意を注ぐ必要がある。


 水およびエネルギーの確保については、@港口の淡水池化、海水の淡水化による用水の確保、A大容量火力および原子力発電所の建設等を計画的に推進する

 また、事業の実施に当たっては、種々の変化に適切に対応する施策目標の設定と決定方式の合理化など事業の選択、実施の効率化に努める。

(2)鉱工業の開発
 沖縄の工業は、砂糖、パイン缶詰、セメントなど主として地域内の資源に依存する型の工業と地域内の消費需要を対象とする県内需要指向型の工業が中心となっている。しかし、最近では大規模原油輸入基地の立地に見られるように、その地理的優位性に着目し、また大規模港湾建設、工業用地造成の可能性が認識され、将来におけるこの地域での工業開発が有望視されるに至っている。

 将来の業種構成については、従来比較的高い比重を占めてきた食料品工業は、今後相対的に伸びが鈍化するものと見込まれ、新たに臨海部における」石油精製、同関連産業、アルミ精錬、同関連産業等基幹資源型臨界性工業の発展が期待される。

 地域的には、ヨード原料及び熱源としての天然ガス利用工業、バガス、廃糖蜜の有効利用を目的とした甘蔗コンビナートなどの農産物利用工業、消費財工業等の資源依存型、県内需要指向型工業は、労働力の確保と資源利用をはかりうる都市付近への立地が考えられ、基幹資源工業は、港湾施設、用地確保などの関連から臨海部への展開が考えられる。

 このような見通しのもとに、軽工業の開発に必要な施策としては、@鉱物資源の開発、A産業基盤の整備、B工業用地の確保、C労働力の確保、D立地企業に対する助成、E公害防止措置があげられる。

 具体的には、鉱物資源の開発については、天然ガス資源についてその効果的な起業家研究と関連産業の調査を行い、また石油をはじめ各種の鉱物資源が豊富に埋蔵されているとみられる周辺大陸棚について海洋開発のための基礎的、技術的、経済的開発調査を実施する。

 工業開発については、@道路、港湾等産業基盤の先行的整備、A工業用地造成長期計画の策定推進、B工業用水の確保、C勤労者住宅、文教施設、福利厚生施設その他労働力確保のための生活環境施設の整備、D労働力の産業部門別、業種間、地域間の流動化促進のための職業紹介、職業訓練、技能検定等の充実、E新規進出企業および既存企業の増設に対する金融上、税制上の優遇措置、F公害発生防止措置等の施策を講ずる。





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2012年07月29日

沖縄地域開発の系譜(40)

沖縄地域開発の系譜(40)


沖縄経済振興の基本構想B

 昭和44年10月22日 総理府特別地域連絡局


☞復帰前、総理府は沖縄経済振興の基本構想を発表したが、沖縄に原子力発電所の開発促進を提起していた。

(3)沖縄経済開発の基本的方向
 沖縄経済開発の基本的方向は、長期的には基地関係収入等外生的要因に依存する型の経済から、逐次産業の開発による自立型経済へと脱却し、日本経済の一環としてその地域的特性をいかしつつ、既存産業の再開発と新産業の導入育成を通じて成長する経済を実現することでなければならない。

 また、地域開発の方向性は、沖縄、宮古、八重山の三つの群島につき、それぞれ開発のための基本的条件を整備し、その特性のうえに立って開発を進める必要がある。

 まず沖縄本島においては、日本列島の南の玄関口としての機能的条件に注目し、また南部地域の人口集積を基礎に石油関連産業等基幹資源型工業を主とする大規模な工業開発の可能性を検討するとともに、予想される日本と東南アジア諸国との交流の緊密化に備え、東南アジア文化交流センターないし国際的会議場の設置の可能性について、国際観光との関連をも考慮しつつ検討を進める。

 宮古、八重山群島のいわゆる先島地域については、基幹労働力の確保を前提に本土向け大規模食糧基地供給地として開発の可能性を検討する。両群島は、現在砂糖、パインアップルが主要農産物となっているが、将来は砂糖、パインアップル生産の機械化合理化の促進と併行して、本土内の農業のみでは供給し得ない畜産物、野菜、亜熱帯果樹、観葉植物等の生産を促進し、所得の向上、格差の是正に努めるものとし、そのため亜熱帯農業の振興に関する試験研究機関の設置、交通通信施設の整備、生産物流通体系の確立を図る。また、観光については、両群島それぞれの持つ特色を活かした観光開発を進める。

 このような開発の促進に当たっては、その基盤整備のための大規模な公共投資が先行的に行われることが望ましい。

 例えば、島内横断高速道路、周遊道路等の建設、大規模工業港の開発、水やエネルギーの解決方法としての海水の淡水化、原子力発電所の設置が考えられよう。これらは、長期的には開発促進の原動力となるばかりではなく、短期的には有効需要を喚起し、雇用機会の創出に役立つであろう。

3 沖縄経済振興のための施策


 沖縄経済の振興は、長期的な観点から検討し、推進されなければならないが、具体的な施策に当たっては、当然のことながら、その時の状況に応じて、当面実施しなければならない施策と客観的な条件が備わるのを待って実施しなければならない長期的な施策とがある。

 以上の施策もこうした考え方のうえに立って実施され、その実施に当たっては、施策相互間においてそれぞれ有機的関連をもち進められることが必要である。

 なお、これら施策との関連において、祖国復帰の際、現に沖縄において有効な経済関係の制度、組織等のうち本土のそれとの斉一化が直ちに困難なものについての経過的措置については、これらの措置が将来の沖縄経済の成長発展に寄与し、沖縄100万県民の福祉に役立つものである限り認めなければならない。



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