2012年07月28日

沖縄地域開発の系譜(39)

沖縄地域開発の系譜(39)


沖縄経済振興の基本構想A
 昭和44年10月22 総理府特別地域連絡局

2 沖縄経済振興の基本的な考え方

(1)沖縄に期待されるもの
 去る5月30日、閣議決定された昭和60年を目標年次とする新全国総合開発計画は、「開発の基礎条件として、中枢管理機能の集積と物的流通の機構とを体系化するためのネットワークを整備し、この新ネットワークに関連せしめながら、各地域の特性をいかした自主的、効率的な産業開発、環境保全に関する大規模開発プロジェクトを計画し、それを実施することによって、その地域が飛躍的に発展し、漸次その効果が全国土におよび全国土の利用が均衡のとれたものとなる」という新開発方式により、国土の総合的な開発を進めるものとしている。

 新全国総合開発計画の目指す「交通、通信のネットワークの建設と産業の遠隔地立地を通じての日本列島全域の効率的利用」という基本的考え方は、従来の拠点開発方式をさらに充実させたもので、各地域と中枢管理機能の大集積地である大都市を新ネットワークで結合させることで一層大きな開発効果を期待しようとするものである。

 従来、沖縄の経済開発につき、主として地域開発の観点から格差の是正を目標に進められてきた日本政府の経済振興施策は、今後は新全国総合開発計画の基本的な考え方に即応して進められ、本土沖縄間の時間的距離は情報化社会の進展により著しく短縮され、社会的、文化的格差と共に本土と沖縄の経済的格差も急速に解消されよう。


 日本列島の最南端、亜熱帯地域に位置し、アジア諸国に最も近く、比較的余剰労働力を有する沖縄は、例えば、畜産物、生鮮食料品の本土への供給地として、本土の中央ベルト地帯に立地できなくなった大規模工場の適地としてB、自然環境地域の遠隔地化に伴う新しい海洋性観光地域として、さらに日本と東南アジアを結ぶセンターとして期待される。

(2)沖縄経済開発の基本的条件
 沖縄は新しく期待されている。沖縄経済がこの期待に応え、日本経済の重要な一環として組み込まれ、長期にわたり安定した成長を維持し格差を解消するためには、その基本的条件として@労働力、A水とエネルギー、B用地の確保が必要である。

 第一の労働力は、質が高く、かつ、豊富であることを要する。現在沖縄では、若年労働力本土流出が見られるが、このような基幹労働力の確保は、今後の沖縄振興の鍵を握る一つとなろう。このため、教育の充実、住宅その他生活環境施設の整備など労働力の質、量の向上、確保に役立つ諸施策を推進する必要がある。

 第二に、産業発展のための水とエネルギーが十分に確保されなければならない。水とエネルギーは、単に都市生活のためや工業の発展のためのみならず、農業の振興にとっても不可欠の基礎資源である。このため水資源の開発、エネルギー源としても天然ガスの調査開発を推進する必要がある。

 第三は、用地の確保である。このため、沖縄全域について土地利用調査を行い、土地の総合的利用計画を定め、計画的工業配置を行い、また沖縄は、四面海に囲まれた珊瑚礁の上に成り立ち、埋立可能地はかなり広いものと考えられるので、工業用地造成のための長期計画を策定し、これに基づき埋立可能地の調査、工業用地の造成を推進する必要がある。







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2012年07月27日

沖縄地域開発の系譜(38)

沖縄地域開発の系譜(38)

沖縄経済振興の基本構想@

 昭和44年10月22日 総理府特別地域連絡局


1 はじめに
 沖縄経済は、ここ数年、毎年度17.8%という極めて高い成長を続け、世界にも類いまれな成長といわれる本土にも劣らぬ経済発展を遂げている。

 これには戦後廃墟と化した沖縄を不撓不屈の気概、持ち前の勤勉をもって今日あらしめた100万沖縄県民の熱意と努力に負うところが大きいが、それとともに最近における商品輸出の好調と県内企業の供給力増大を背景とした経済規模の拡大、GNPの37%、総額2億4100万ドル(1968年度)に達する基地関係収入および日米両政府の財政援助収入の増加などといった内外の好影響によるところもまた大きい。

 沖縄経済は、戦後25年間にわたり、施政権を異にするが故に、本土とは別の独自の経済圏を形成し発展してきた。

 その産業構造は、日本政府の保護措置のもとにある砂糖、パインアップルを中心とした第1次産業、一般に企業規模が小さく物品税等により保護されている第2次産業、基地依存性が濃厚な第3次産業からなっており、これら産業の基盤はその多くは脆弱、かつ不安定である。


 今秋の日米首脳会談によって、日本民族多年の宿願である沖縄の祖国復帰が現実のものとなろうとしているとき、このような沖縄の産業経済の現状について、復帰を控えての、はたまた長期的展望のもとでの産業経済施策につき検討を行い、本土、沖縄、政府、民間それぞれ相携えて復帰に伴う摩擦、不安を解消し、長期にわたり安定した沖縄経済の振興方策を樹立することは現在最も重要な課題の一つとなっている。

 沖縄経済の振興については、本土側から42年8月の塚原総務長官の構想になる長期ビジョンの発表をはじめ日本政府本土沖縄一体化調査団報告その他いくつかの調査報告が行われ、沖縄経済振興方策につき種々提言するところがあり、一方、沖縄側においても近く琉球政府により長期経済開発計画が作成される見通しとなっている。

 また、民間における協力組織としての沖縄経済振興懇談会は、日琉経済人よりなり、41年7月、東京において第1回の会議を開催し、現在までに4回開催され、本土・沖縄相互の意思の疎通、協力関係の樹立等に数々の成果をあげている。

 率直に言って、沖縄経済の振興、本土との格差解消は容易ではない。天然資源に乏しく市場は狭隘で、水およびエネルギーの確保もまた困難である。

 しかし、対外依存性を特徴とする現在の沖縄経済の姿が将来においても肯定されるものとは言い難いだけに、沖縄県民と一体となり、産業の開発を促進し、経済の振興を図り、県民生活の安定に努めることは25年間にわたる断絶を埋める意味での本土の責務であり、反面沖縄において、いたずらに過去を想起して懸念を抱き、新たな局面の展開に拒絶反応を示すようなことがあるとすれば、経済の真の発展は期待できず成長はやがて停滞へと変ろう。


 いまや自由世界第2の経済規模をもち各部門、各分野でのアンバランス解消を新経済政策の方向とする日本政府は、地理的な有利性を持ち未開発の故に開発の可能性を秘めている沖縄をこのような視点でとらえ、長期的展望のもと、制度組織を整備してその開発を促進し、現在の繁栄の持続と困難の解消を両立させることに最大の努力を傾ける考えであり、沖縄もまた日本経済の一環として、「豊かな国」作りに重要な役割を果たすであろうし、またそうなくてはならない。





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2012年07月26日

沖縄地域開発の系譜(37)

沖縄地域開発の系譜(37)

沖縄経済に関する視察報告D

 昭和43年11月 日本政府沖縄経済調査団


(9)健全財政の堅持と金融の正常化
 安定経済の基調のもとで経済の発展を図るためには、健全財政に堅持と金融の堅持と金融の健全化、正常化が必要である。

 このため政府においては、健全財政を堅持し、歳出については、重点化、効率化に努め特に投資的支出については、事業の質的な面に重点を置き、また民間事業への移行、金融への切り替えについても推進する必要がある。

 財政投融資については、今後の産業の動向に即応して対象事業を選定し、その効率的運用に努める必要がある。

 また、金融面においても金融の正常化を促進し、民間の自発的貯蓄を中心とした資本蓄積策の推進を図るとともに、重要産業資金の確保につき適切な措置を講ずる必要がある。

 なお、通貨の取り扱いに関し、ドル通貨の円通貨への移行は奄美および小笠原の場合と同様、本土復帰の際実施することが適当である。

(10)物価の安定

 経済の安定を図るためには、物価の安定が不可欠の要件である。このため、需給の安定、低生産部門の近代化を推進するとともに物価引き下げに影響の大きい金利の低下、流通段階の合理化等を促進する必要がある。


 また、国際競争の激化の趨勢にかんがみ、今後とも国際的に割高な物価の一層の低下を図る必要がある。したがって国際的な物価割高になっている分野については、コストの低下、生産性の向上等産業の合理化の促進を図る等の対策を講ずるとともに公共的な物価、料金は極力これを抑制するよう対策を講じ、物価水準の安定を図る必要がある。

4. 結び
 沖縄経済の発展、産業の振興方策については、先の日本政府一体化調査団の報告書をはじめ、本土、沖縄それぞれの学界、経済界各方面から沖縄経済の現状と問題点の指摘およびその発展策につき種々の提言がなされており、その論旨もおおむね一致し、妥当なものが多い。このたびの報告も大筋においてはこれら調査報告書の内容と類似し、共通する点が多く、その意味では今後の調査は、今までのような概括的調査に止まらず、むしろ政策の具体化のための個別的事項に関する専門的調査、分析を中心として行われることが望ましい。

 今回の視察を通じて、沖縄の本土復帰が昨年の佐藤・ジョンソン会談を契機として具体的問題となるに従い、現地沖縄の経済界には、一方においては世界有数の経済成長を遂げ、米ソに次ぐ経済規模に達した日本経済への参加という期待と、他方、独自の経済圏を形成し、輸入規制と関税障壁により発展してきた沖縄の地場産業が、このままでは本土復帰と共に巨大な本土資本によってたちまち席捲されるのではないかという不安焦燥感が同居しているとの印象を受けた。

 この不安焦燥感から、沖縄においては地場産業の体質強化を理由に、本土政府の大幅な財政援助と復帰後の特別措置を要望している。


 日本政府としては、沖縄が太平洋戦争の惨禍を受け、種々の困難な環境のなかから今日の経済発展を成し遂げてきた努力を十分考慮し、出来る限り、その経済発展に必要な配慮を行うものとし、特に現在沖縄経済界が抱いている不安と焦燥感を取り除くため、基本的には沖縄の本土復帰の時期を対米交渉により明確にするとともに、現在策定中の全国総合開発計画をはじめ各種の政府施策において可能な限り、日本経済の一環としての沖縄経済の位置づけ、その発展の方向に関する構想を示し、沖縄側の復帰までの間、漸進的に進めることはもちろん本土復帰後においても、一定期間、沖縄に関する経済施策については経済合理性に立脚しながらも、必要な暫定措置を講ずることとする等、特別の配慮をはらう必要があると考えられる。

 また、沖縄経済振興については、当然のことながら、日米琉三政府の適切な施策、援助、協力と並び本土と沖縄の民間経済関係者の十分な認識と相互理解に基づく企業協調にまつ割合が高く、その意味で、現在の沖縄振興懇談会について見られるような沖縄の経済振興に関する定期的協議が今後とも継続され、情報の相互交換、技術援助、指導が続けられることを切望してやまない。

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