2012年07月22日

沖縄地域開発の系譜(33)

沖縄地域開発の系譜(33)

日本政府は、昭和43年11月5日「日本本土と沖縄の一体化に関する基本方針」を閣議決定した。閣議決定に先立ち、沖縄に経済視察団を派遣し沖縄の現状を把握した。日本政府の沖縄経済開発構想を取り上げる。


沖縄経済に関する視察報告@
 昭和43年11月 日本政府沖縄経済調査団

 1.     まえがき

 われわれは、9月5日から9月9日までの5日間、経済に関する本土・沖縄一体化施策の推進に資することを目的に、沖縄経済の現状を把握するため現地を視察した。訪沖中、米国民政府、琉球政府、日米琉諮問委員会をはじめ、学会、経済界その他関係各界と意見を交換し、産業施設等の視察を行ったが、これらはいずれも友好的な雰囲気の中で進められ、かつ。きわめて有意義であった。

南連(与儀).jpg

 以下の報告は、日本経済の一環としての沖縄経済の発展を図り、労働力人口に十分な雇用の機会を与えるための施策について、このたびの視察団に参加した日本政府政経済関係各省の政策担当者の意見を参考に、団長が取りまとめたものである。


 沖縄経済の発展については、本土・沖縄一体化の基本方向は定まっているものの、本土復帰に時期、復帰の際の基地の態様、基地関係雇用者の状況等、沖縄経済の発展の前提となるべき基本的事項がなお不明確な状況にあり、その限りにおいてはこの報告書も制約のあるものとならざるを得なかったが、一応、なお暫くの間は現状に著しい変化はないとの前提をおいて報告を行うこととした。

 沖縄経済調査団名簿
  団長 総理府総務副長官    八木 徹雄
  団員 経済企画庁審議官    堀  太郎
     大蔵大臣官房審議官   林  太造
     農林大臣官房参事官   荒勝  巌
     通商産業大臣官房参事官 高橋淑郎
     運輸大臣官房参事官   内村信行
     労働省職業安定局審議官 道正邦彦

2.     沖縄経済振興のための基本的考え方

(1) 経済の体質の改善


 沖縄経済は、ここ数か月の高度成長により、経済規模はさらに拡大した。しかし、その内情は、輸出の伸び悩みにもかかわらず年々増加の傾向にある基地関係収入、日米両政府の財政援助収入、観光を中心とする貿易外収入等によって、暫く対外収支の均衡が図られ、経済成長がもたらされているというのが現実である。

 この基地関係収入に見られるような特別のドル収入は、ベトナム戦争の推移等とも関連するが、早晩横ばいないし漸減するものと考えられるので、対外収支の均衡を維持し、現状の経済成長を今後とも維持するためには、一層貿易収入、観光収入等の増加に努め、また消費の健全化を進めて輸入の抑制を図る必要がある。

 このためには、沖縄経済の本質の改善が必要であり、世界における貿易自由化の趨勢に伴う国際競争の激化に対処し、関係産業の合理化、生産性向上による製品コストの引き下げ、品質の改善、海外市場の開拓等により国際競争力を強化することが今後の沖縄経済政策、貿易政策の最も重要な課題といわなければならない。

写真:日本政府沖縄事務所(那覇市与儀:現那覇警察署)
米軍統治下の沖縄で唯一日の丸を掲げていた。沖縄県民は日本政府のことを南連と呼んでいた。




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2012年07月21日

沖縄地域開発の系譜(32)

沖縄地域開発の系譜(32)

■沖縄返還協定・米上院聴聞会(16)

 その他主要証言

 第2日(1971年10月28日)


スパークマン議員(民主党):米国の投資がどうなるかについて聞きたいのだが、返還して引き上げるときの影響はどうか。

ランパート沖縄高等弁務官:それについては細かい交渉を日本政府との間に重ねた末、愛知外相から米国に書簡が出されており、米企業の活動のための基礎が定められている。日本の法律のもとで米企業の活動にはある程度の制限が加えられるかも知れないが、いまだ検討中である。
ランパート高等弁務官2.jpg

 サービス関係や米国人居住者を対象とした小規模な企業が多いといってよいが、地元沖縄の人々を対象としたものが大部分で、さらに沖縄以外の外国との関係を持つ企業も出ている。例えば、米国の石油会社三社が中東からの石油を輸送し、精製するという試みを始めようとしている。

クーバー議員(共和党):日本に残っている米軍の兵力はどのくらいかね。

パッカード国防次官:3万だ。


クーバー議員(共和党):台湾には。

パッカード国防次官:9千人。

クーバー議員:韓国ではどうか。

パッカード国防次官:4万人。

クーバー議員:それらの中で沖縄が一番重要なのか。


パッカード国防次官:韓国、日本その他の地域への近さなどからみて、地理的に重要だということだ。

クーバー議員:米軍に反発する空気はどんなものか。


ランパート沖縄高等弁務官:米軍基地の存在は、沖縄に比べれば日本本土では、まばらである。したがって、本土には緊張が少ないと言える。だが、本土は沖縄に関心が深く、沖縄で何かが起こると、すぐ新聞に取り上げ、本土の関心をひく。

クーバー議員:米軍人に対する司法権の問題は、返還後どうなるのか。

ランパート沖縄高等弁務官:軍人が服務中でなく基地外で犯罪行為を行えば司法権は日本にある。


クーバー議員:事前協議を少し説明してほしい。

パッカード国防次官:米軍が兵力を撤退させることは差し支えないが、基地を使用し、そこから攻撃部隊を派遣することは事前の協議および日本政府の同意を得なければできない、ということだ。


ジャピッツ議員(共和党):返還の問題は結局「米軍基地の円滑な活用は沖縄の人々の善意に依存する」というパッカード次官の表現に最も重大な点があると思う。安全保障と返還との関連という問題もあるが、米国と沖縄とが引き続き良好な関係を保てるのか、米国としてどんな活動をしていくのか、といった点について意見を聞きたい。

パッカード国防次官:短期的には返還によって摩擦のタネがなくなり、全般的、長期的に見れば、米国と日本との利害の一致の度合いが米国と沖縄の関係を左右することになろう。

ランパート沖縄高等弁務官:米国はこれまでの施政で全力を尽くして地元の人々とよくやったと思う。

スパークマン議員:1969年11月の佐藤・ニクソン共同声明は、台湾の平和と安全の維持が日本の安全にとってきわめて重要だと述べているが、中国に関連のある最近の情報変化を考えた場合、この認識を再検討することが重要と思うが。

パッカード国防次官:日本と同盟諸国との間で再検討が行われるだろう、と考えていただきたい。しかし、中国代表権に関する国連決議にもかかわらず、台湾と我々の関係の重要性が変化したとは考えない。

出所:南方同胞援護会編『追補版 沖縄問題基本資料集』 

写真:ランパート沖縄高等弁務官(USCAR)






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2012年07月20日

沖縄地域開発の系譜(31)

沖縄地域開発の系譜(31)

■沖縄返還協定・米上院聴聞会(15)

 その他主要証言

  第2日(1971年10月28日)

フルブライト外交委員長2.jpg

フルブライト上院外交委員長:基地の使用および米国の安全保障が沖縄にどのようにかかわっているかを少し詳しく説明してほしい。


ランパート沖縄高等弁務官:沖縄における米陸軍の任務は第一義的には補給、兵站であり、したがって施設として倉庫、店舗、資材置き場などが多く、米軍人だけでなく沖縄現地の市民が多く雇われている。

 対空ミサイル戦力と二つの空軍基地があるが、嘉手納はこの地域では最大の施設を持ち、米空軍は全般的な防空体制を敷いている。

 海兵隊は沖縄で最大の兵力規模を持ち、ベトナムから帰った第三師団が駐留している。海軍は限られた規模だが、潜水艦の出入りもある。米国人は征服軍人4万5千人、その他将兵の家族や文官およびその家族、実業家などを入れると総計8万5千人となる。

フルブライト上院外交委員長:沖縄の米軍基地による防衛というのはそもそも何に対する脅威を目的としたものか。沖縄に対する脅威が、それとも日本を防衛するのか。なぜ基地の維持が必要なのか。

パッカード国防次官:西太平洋地域の防衛およびもっと広い見地からこの問題を見ることが必要だ。例えば、韓国にとって沖縄基地は重要だ。あるいはベトナムに対して海兵隊をいつでも使えるような状態、といったものが必要だ。

フルブライト上院外交委員長:だが、ベトナム戦争はやがて終わるものではないのか。私はそう望んでいるが、そういうときに基地を漠然と無期限に持つことが本当に必要かどうか、と私は思うが。

パッカード国防次官:確かに対日関係でも、実質的な変化が起こりつつある。ニクソン大統領は中国への門戸を開こうとしている。こういう時に米国の軍事的存在を減少させることによって、責任放棄を示すことは望ましくない。

 軍事的存在は外交政策が転換するときに、それを支える役目を果たすと思う。特に今は、過去20年間の状態から外交関係で大きな変化が起きるときであり、慎重さが必要だと考える。

フルブライト上院外交委員長:つまり今は過渡的なので、期間を区切るのは難しく、そこで漠然とした無期限の基地維持が必要ということか。

パッカード国防次官:ニクソン・ドクトリンを実行に移すにしても、交渉を進めていくにしても、米国だけの話だけではなく、よその国にも影響を及ぼすことであり、それだけに慎重さが必要だということだ。

出所:南方同胞援護会編『追補版 沖縄問題基本資料集』昭和47年7月



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