2017年04月21日

沖縄予算一括計上の本質㊶

内閣府は17年度沖縄予算の概算要求で16年度当初予算を140億円減額し3210億円とした。内閣府は沖縄担当窓口として積極的に予算の獲得に尽力すべきであるが、自ら所管する予算を大幅に減額した。沖縄振興の本質を失いかけていないか。

17年度予算を巡り、菅義偉官房長官は基地と振興策はリンクすると語り、鶴保庸介沖縄担当相は「消化できないものを無理やりお口開けて食べてくださいでは、血税を無駄遣いしているという批判に耐えられない」と予算減額を示唆した。

一括交付金は前年度当初から255億円減の1358億円としたことは、国の言いなりにならない県政への「兵糧攻め」だ。

12年度予算は辺野古移設懐柔策として2400億円の概算要求に対し、500億円上積みし2937億円で政治決着。13年度予算も概算要求額に64億円積んで3001億円に決定。仲井真弘多知事が辺野古移設を承認した14年度予算は、対前年度比459億円増の3501億円計上し沖縄への配慮を示した。

翁長雄志知事就任直後の15年度予算は、概算要求から450億円削り3340億円で前年度161億円減少。16年度は3429億円の概算要求から79億円減額し3350億円だった。

沖縄振興は苛烈な戦禍、27年間の米軍支配等の沖縄の特殊事情を考慮し国の責任で実施するものだ。高率補助、一括計上の予算編成システムは本土との一体化を目的として制度化された。

2015年、16年に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針」は、沖縄振興について、成長するアジアの玄関口として沖縄の優位性と潜在力を活かし、日本のフロントランナーとして経済再生の牽引役となるよう、国家戦略として推進する」とある。

2016年1月、安倍晋三首相は施政方針演説でアジアとのハブである沖縄の成長の可能性を開花させるため、今年度を上回る沖縄予算の確保を約束したが、17年度予算概算要求で基地問題と結びつけ一括交付金を大幅に減額した。

一括交付金は自由度が高く観光や産業の振興、離島振興など幅広い分野で活用されているが、衝撃的な切り込み方だ。

内閣府は、「一括交付金はソフト事業、ハード事業で繰越額が出ている」と減額理由を言い始めたが、執行率低下は煩雑な国との調整に時間がかかり、交付決定が遅れたのが原因だ。

15年度の執行率はソフト分77%、ハード分72%で制度創設以来改善されている。突如として17年度概算要求で繰越率を指摘して減額することは、巧みな「基地リンク論」とみるべきだろう。(本稿終わり)

posted by ゆがふ沖縄 at 00:05| 宮田裕の「沖縄振興論」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月20日

沖縄予算一括計上の本質㊵

沖縄予算一括計上の本質㊵
〜敗戦後の財政援助から沖縄予算へ

一括交付金は経常的経費である「沖縄振興特別推進交付金」と投資的経費である「沖縄振興公共投資交付金」に区分される。「沖縄振興特別推進交付金」は沖縄振興に資するソフト事業が対象で交付率は8/10で予算執行手続きを簡素化し内閣府が交付する。

ソフト事業は、自立、戦略的発展、特殊事情等を対象に観光振興、情報通信産業、農林水産業、産業の振興、雇用の促進、人材育成等の事業に交付される。

「沖縄振興公共投資交付金」は、各府省の地方公共団体向け投資補助金等のうち、沖縄振興に資するハード事業に係る補助金等の一部を一括交付金化し、原則各省に移し替えて執行し、交付率は沖縄振興事業費の高率補助が適用される。
主な対象事業は、@交通安全施設整備、A学校施設環境改善、B水道施設整備、C医療施設整備、D農山漁村地域整備、E農山漁村活性化対策整備、F農業・食品化対策整備、G水産業強化対策整備、社会資本整備─などである。

■一括交付金予算額(補正後)
2012年度:1619億円(当初:1575億円)
2013年度:1639億円(当初:1613億円)
2014年度:1763億円(当初:1759億円)
2015年度:1622億円(当初:1618億円)
2016年度:1619億円(当初:1613億円)
2017年度:1358億円(当初予算)

2017年度一括交付金は前年度当初から255億円減の1358億円と大幅に削減された。2014年度以降、沖縄予算は、基地問題とリンクし毎年減額され、特に自由度の高い一括交付金が切り込まれた。

2016年度特別推進交付金交付決定(県分)は485億円、275事業、市町村分316億円1151事業だった。

公共投資交付金は806.6億円(国費ベース)で主な活用実績は社会資本整備402.3億円、農林水産基盤整備124.9億円、新県立八重山病院の整備26.9億円、水道施設整備・工業用水道施設整備102.3億円、環境改善学校施設(陽明高校、狩俣小学校、真和志幼稚園)59.4億円等であった。

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2017年04月19日

沖縄予算一括計上の本質㊴

沖縄予算一括計上の本質㊴
〜敗戦後の財政援助から沖縄予算へ

沖縄が本土に復帰した1972年度から2017年度までの沖縄予算の総額は12兆1638億円。そのうち、沖縄振興事業費は10兆9703億円。5次にわたる振興計画が実施されているが、計画ごとの予算内訳は次のとおりである。

@ 第1次沖縄振興開発計画(1972〜1981年度)
沖縄予算の総額:1兆3819億円⇒振興事業費1兆2483億円
A 第2次沖縄振興開発計画(1982〜1991年度)
沖縄予算の総額:2兆2281億円⇒振興事業費2兆149億円
B 第3次沖縄振興開発計画(1992〜2001年度)
沖縄予算の総額:3兆7275億円⇒振興事業費3兆4639億円
C 沖縄振興計画(1992〜2001年度)
沖縄予算の総額:2兆8301億円⇒振興事業費2兆4910億円
D 沖縄21世紀ビジョン基本計画(2012年度〜2021年度)
2012年度から〜2017年度までの予算総額:1兆9962億円
そのうち、一括交付金9621億円、公共事業7901億円

復帰後40年間の振興事業費の使途を掲げる。
沖縄振興計画に基づき、復帰後40年間の振興事業費総額は9兆2181億円(補正後)であった。

9兆2181億円の項目別内訳は次のとおりである。
■道路⇒3兆1108億円(33.7%)
■港湾・空港⇒1兆1174億円(12.1%)
■ダム開発⇒5332億円(5.7%)
■水道・廃棄物処理⇒1兆6007億円(17.3%)
■住宅・都市公園⇒4329億円(4.6%)
■農林水産業⇒1兆4982億円(16.2%)

沖縄県の要望を受け、2012年度予算で沖縄振興交付金(いわゆる一括交付金)が創設された。振興事業費は一括交付金と公共事業費に分類。

沖縄振興一括交付金は、沖縄の実情に即して的確かつ効果的に施策を展開するため、沖縄振興事業を県が主体的な選択に基づいて実施できる制度で新たな沖振法に明記された。

posted by ゆがふ沖縄 at 00:03| 宮田裕の「沖縄振興論」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする