2017年04月18日

沖縄予算一括計上の本質㊳

沖縄予算一括計上の本質㊳
〜敗戦後の財政援助から沖縄予算へ

一括計上の根拠は、内閣府設置法第4条3項19号「振興計圃に基づく事業に関する行政関係機関の経費の見積もりの方針の調整及び当該事業で政令で定めるものに関する関係行政機関の経費の配分計圃に関すること」で規定する。

沖縄振興予算の特色は、農林水産省、国土交通省の公共事業費関係費とそのほか、非公共の文教施設費、沖縄科学技術大学院大学関係経費を計上し、更に、沖縄の特殊事情等に対処する経費(位置境界明確化、不発弾処理、対馬丸関係等)や沖縄振興開発金融公庫補給金の諸経費を計上している。

内閣府沖縄振興局は、関係省庁の指導・助言を受けるために各省から職員を受け入れ、予算作業の円滑化を図っている。

内閣府沖縄振興局で一括計上された予算は、実施官庁である関係各省に予算を移し替える。関係省庁は直轄事業費、補助事業費については沖縄総合事務局(開発建設部、農林水産部)へ予算を流す。国直轄の国道、ダム、国営かんがい排水事業、港湾、空港などは沖縄総合事務局が実施する。

補助事業については沖縄総合事務局から県、市町村へ予算が流れる。補助事業の内容は、県道、市町村道、高校、小中学、病院、住宅、空港、用水供給事業、農業農村整備、上下水道などである。

沖縄振興の枠組みは、@沖縄振興法、A沖縄振興計画、B高率補助、C予算の一括計上を基本とする。このような仕組みは沖縄に与えられた特別措置である。

なぜ、沖縄にこのような特別措置を適用しているのか。それは沖縄の振興開発は「償いの心」が原点になっているからである。

地域の振興計画は、県や市町村が担当すべきであるが、沖縄の振興開発は、政府の貴任で行われている。その理由は沖縄の特殊事情にある。

復帰時の議論を整理すると、沖縄振興法の沖縄の特殊事情とは、苛烈な戦火を被ったことや沖縄が27年間、米軍支配下にあった歴史的事情がある。

多数の離島が存在することや本土から遠隔地にあること、さらに亜熱帯地域にあることや台風常襲地帯である地理的条件、米軍基地が集中している社会的条件などを踏まえ政府は、「贖罪意識」すなわち「償いの心」で沖縄振興に責任を持つことが沖縄振興法の立法趣旨で明確にしている。

復帰後の振興予算については次回に述べる。

posted by ゆがふ沖縄 at 00:25| 宮田裕の「沖縄振興論」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月17日

沖縄予算一括計上の本質㊲

沖縄予算一括計上の本質㊲
〜敗戦後の財政援助から沖縄予算へ

今回から予算の一括計上と沖縄予算について述べる。
復帰時に沖縄予算は、一括計上と高率補助の制度設計がなされた。

振興開発事業費は「沖縄開発庁設置法」と「沖縄開発庁経費配分計画政令」に基づきスタートした。当時、大蔵省は反対していた。総理府総務長官・山中貞則氏が「沖縄への償いの心」として制定した経緯がある。

27年間の米軍支配は少なくとも30年間は国がすべての責任を負うことでスタートしたが沖縄は本土並み水準に達していなく、基地問題をはじめ経済・社会・福祉等多くの課題を抱えており、現在まで振興計画が続いている。

沖縄開発庁は30年の歴史に幕を閉じ、2001年1月、沖縄行政は内閣府沖縄担当部局に移管された。沖縄開発庁の権限は内閣府に引き継がれ、沖縄予算は、「内閣府設置法」、「内閣府経費配分計画政令」に基づき、内閣府が一括計上している。

一括計上の対象事業は、道路、港湾、空港、治山、治水等の公共事業のほか、文教、医療等関係の施設整備、その他沖縄の特殊事情等に対処するために必要な事業が含まれている。

一括計上された予算は、それぞれの事業を実施する所管省の一般会計へ移し替え、または特別会計へ繰り入れて執行される。
posted by ゆがふ沖縄 at 00:48| 宮田裕の「沖縄振興論」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月14日

沖縄予算一括計上の本質㊱

沖縄予算一括計上の本質㊱
〜敗戦後の財政援助から沖縄予算へ

すなわち、「残された格差の是正と自立的発展の基礎条件整備を進める」とともに、「広くわが国の経済社会及び文化の発展に寄与する特色ある地域として整備を図り、世界に開かれた豊かな地域社会の形成を目指していく」ことが今後の沖縄振興を進めていく上での基本理念となった。

2次振計の期間中に投入された財政投資と評価について触れておきたい。この期間の沖縄開発庁予算の総額は2兆2281億円。そのうち沖縄振興開発事業費は2兆149億円でこのうち公共事業費は1兆808億円であった。

沖縄振興予算の特徴は、国土交通省、農林水産省等に係る公共事業関係費のほか、非公共の文教施設費、さらに沖縄の特殊事情等に対処するための経費(位置協会明確化、不発弾処理、対馬丸関係等)や沖縄振興開発金融公庫補給金等の諸経費を計上している。

コストパフオーマンスを見てみよう。人口は111万人から122万2千人に増加した。計画では人口は120万人設定したが目標を達成した。期間中に毎年0.8%人口を増加する計画であったが毎年1%ずつ人口は増加したことになる。

1次産業の就業者の比率は産業全体の14%を占めていたが計画では12%に減らし、減った分2次産業、3次産業に雇用を拡大する計画であった。実際1次産業の就業者は14%から10%に減った。農林水産業に雇用の比重は置かなかった。沖縄の食糧自給率は改善されなかった。遊休農地も増えた。政策論として経済フレームの設定に問題がなかったか自己反省すべきだろう。

産業構造はどうか。1次産業の総生産は県内総生産の6%であるが、10年間そのまま維持するとした。就業者の比率を減らす計画に矛盾が見られる。実績は6%から1.2%になった。

農林水産業の振興を掲げながら矛盾が吹き出た結果となった。沖縄開発庁の官僚が沖縄の現場を知らずに鉛筆をなめて作った経済フレームの実体だ。

第2次産業の生産額は22%だった。計画は沖縄の自立的発展、県民所得格差を掲げた。達成目標として24%に設定した。実績は19%だった。1人当たり県民所得は全国の65.8%の水準だ。沖縄振興開発事業費は2兆149億円の財政資金は機能したのか。財政投資の費用対効果の実証的分析はおこなわれていない。

専門委員会に話を戻そう。沖縄開発庁の調査審議、沖縄振興法の総点検作業、沖縄振興総合調査の結果、さらなる沖縄振興の継続が必要とされた。沖縄開発審議会の審議の結果は、内閣総理大臣に第3次沖縄振興の必要性を意見具申する運びとなった。その結果は、1992年3月27日、「沖縄振興開発特別措置法の一部改正」及び「第三次沖縄振興開発計画」策定につながった。

posted by ゆがふ沖縄 at 00:00| 宮田裕の「沖縄振興論」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする